高速120km/h時代にもかなりある! ターボが選べない軽自動車5台とその理由 (1/2ページ)

この記事をまとめると

◼︎ダウンサイジングターボ全盛の今でもNAしかない軽自動車がある

◼︎NAだからといって全然走らないのかと言えばそんなことはない

◼︎クルマの雰囲気にあったエンジンが載っていることが大切だ

軽こそダウンサイジングターボを備えるべきと思うがそれは間違い

 軽自動車が爆売れしている。国内販売台数4年(2017-2020)連続No.1のホンダN-BOXを始め、とくに同カテゴリーのスーパーハイト系と呼ばれる日産ルークス、スズキ・スペーシア、そしてハイトワゴン系のスズキ・ワゴンR、クロスオーバーモデルのスズキ・ハスラーあたりが絶好調。直近の2021年9月の販売台数では、N-BOXが1万1805台。登録車を含む全乗用車中でも、1位のトヨタ・ヤリスの1万2696台に迫っている(2位がN-BOX。3位がアクアの1万1137台)。

 そうした人気軽自動車の特徴としては、両側スライドドアや高めの全高もあるのだが、ひとつはファーストカー、オールマイティ、高速道路利用によるロングドライブに対応するターボモデルがある点だ。いまどきの軽ターボは、それこそ下手なコンパクトカー真っ青な余裕ある動力性能、快適性を備えているからだ。

 販売比率としては10~15%ではあるものの、商品として用意しておく意味は間違いなくあるのである。なかには、ターボエンジンしか用意されない、スズキ・ジムニー、そしてダイハツ・アトレーワゴンや三菱タウンボックスのようなワンボックスタイプの車種もあったりするのだ。

 じつはスズキ・ハスラーが登場して間もないころ、ハスラーのターボモデルで東京~軽井沢を往復したことがある。基本的に高速道路の関越自動車と上信越自動車道を延々と走り、碓井軽井沢ICを降りたあとは標高1000m近くまで一気に登るくねくねとしたバイパスを走ることになるのだが、軽自動車らしからぬ(最上級!?)乗り心地と車内の静かさ、そして余裕ある動力性能やACC(アダプティブクルーズコントロール)の装備によって、加速の歯がゆさや動力性能不足を感じさせるシーンはまずなく、またACCにも助けられ、運転疲労が最小限だった驚きの経験さえあるほどだ。

 が、軽自動車のなかには、断固としてターボモデルを用意しない車種がある。まぁ、ミライースのような、低価格で燃料タンク容量を28リットルまで絞り込んだ(4WDは30リットル)特異な燃費スペシャル軽モデルのように、燃費性能が劣るターホモデルを揃えないのは理解できるが、燃費スペシャルモデルではないユーティリティ系の軽自動車にも、不思議とターボを用意しないモデルが存在する。

1)ダイハツ・ムーヴキャンバス

 その筆頭が、ダイハツ・ムーヴキャンバスだ。タントとムーブの中間的全高のハイト系モデルであり、往年のワーゲンバスをイメージさせるエクステリアデザインに、両側スライドドアを備えているのが特徴だ。高めの全高でスライドドアが付いているとなれば、低全高、スイング式リヤドアのクルマより車重がかさんで当然で(G SAIIのFFで920kg。ムーブX SAIIのFFで820kg)、ムーブの同等グレードに対して大人1.5人分、100kgも重くなってしまうのだが、それでもターボはない。

 その理由は、デザインや女性がうれしい実用装備満載のCAN=できるミニバスがコンセプトの新種の軽であり、街乗りメインの使い勝手を想定して企画されているからだ。デビュー当時としては、今より軽自動車のターボ比率が少なかった時代だから、まぁ、賢明な判断とも言える。ムーブのターボモデル、RSのようなスポーティなキャラクターとは別世界のクルマだからである。とはいえ、実際に走らせてみると、意外なほどしっかり走る。それもそのはず。全高、重心はタントよりずっと低く、足まわりは軽自動車のなかでもピカイチの最新のムーブから移植したものだから、安定感は文句なし。

 街中をゆったり走る分には静かで、動力性能にも大きな不満を見つけにくいのだ。もちろん、高速走行になれば、とくに登坂路でモアパワー!! と叫びたくなる場面はあるにせよ、高速道路などまず走らない……というユーザーには、ターボの動力性能よりも2トーンカラーで際立つ、愛すべきエクステリアデザインの魅力が上まわって当然だろう。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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