エンジンの主張120%のレンジローバースポーツSVRに乗ったら「欧州の電動化推し」が冗談に思えた (2/2ページ)

V8サウンドとそのパフォーマンスをBEVで再現するのは難しい

 ドアを開け、バケットシートを連想させるシートに座りエンジンをスタートさせると”ブロロオーン”とかなり威勢のいいエンジン音とともにV8エンジンが始動する。SVRということでエンジン音もだいぶ演出されているようで、以前試乗したシボレー・コルベットより主張を感じるV8サウンドを終始奏でてくれる。

 スーパーチャージャー仕様となっているせいか、アクセルを半分ほど踏み込んだだけでも、爆発的な加速を見せてくれる。加速時に体感する重力イメージは、ジェット旅客機が離陸するために滑走路を加速するイメージとまさにそっくりであった。仮にアクセルをベタ踏みしたらそのまま空を飛んでいくのではないかとも思ってしまった。

 燃費を気にするようなモデルではないが、あとで調べたらWLTCモードで6.9km/Lとなっていた。このクルマに乗っていると、「本当にイギリスは2035年に完全にBEV化するのだろうか」と首をかしげたくなってしまった。

 なんといっても主張があり心地良く聞こえるV8サウンドとそのパフォーマンスは、BEVで再現するのは困難であろう。2035年までまだ10年以上あるとはいえ、このモデルはMHEV(マイルドハイブリッド車)でもないので、2030年にはイギリス国内では販売できなくなる対象に含まれるといえよう(アメリカや日本のような電動化の遅れているマーケット向けには残るかも?)。

 ただ、レンジローバーがひと足早くフルモデルチェンジするので、早晩レンジローバースポーツもフルモデルチェンジを実施するはずだ。次期型ではこのようなモデルはラインアップされないだろうとも考えがちだが、SVRモデルは次期型でも用意されるとの情報もある。

 今回の試乗では「どこまでBEV化に本気なのかなあ」とも感じてしまったが、そこは合理主義のヨーロッパ。時期がやってくれば、スパっと販売終了にしてしまうのかもしれない。それか、”電動版SVR”が登場するかもしれない。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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