時代に合わせて「脱皮」したつもりが残念な結果に! イメチェンしすぎて売れなくなった悲運のクルマ4選 (2/2ページ)

伝説的な名車もモデルチェンジでまさかの失敗

2)日産プリメーラ(2005年 販売終了)

 プリメーラといえば、日産が1990年代に世界一のハンドリング性能を実現するという目標を掲げた「901運動」から生まれたFFモデルとして知られている2リッター級のセダンだ。2代目へのフルモデルチェンジにはワゴンの追加はあったものの、完全にキープコンセプトで、プリメーラは硬派なスポーツセダンというイメージを強くした。初代・2代目とモータースポーツで活躍したことも、そのイメージアップに貢献していたことは間違いない。

 そんなプリメーラだったが、2001年にフルモデルチェンジした3代目プリメーラ(P12)では大きくイメージを変えてきた。気持ちのいいエンジンやシャープなハンドリングを生み出すメカニズムの基本コンセプトは不変だったが、スタイリッシュ方向に変身したスタイリングは、それまでのファンからは「プリメーラらしくない」と批判されることも少なくなかった。

 さらにセダンやステーションワゴンへのニーズがどんどん縮小していくなかで、2005年には販売終了となってしまった。その理由のほとんどはスタイリングにあったというのが定説だ。もっとも、そのスタイリングはグッドデザイン賞金賞やレッド・ドット賞を受賞するなど玄人筋からの評価は高かったのだが……。

3)スズキ・セルボ(2009年 販売終了)

 スズキの軽自動車におけるスペシャリティな名前が「セルボ」だ。初代はフロンテクーペの550ccバージョン、2代目はアルトに対するスタイリッシュなクーペスタイルという位置づけで、1990年に生まれた3代目はスズキ初の軽自動車用4気筒DOHCエンジンを積み「セルボ・モード」と名前をゴージャスに進化させた。
そのセルボ・モードは1998年にいったん生産終了となったが、2006年に三度「セルボ」という名前のモデルが誕生した。

 切れ長のヘッドライト、凝ったキャラクターラインを持つスタイリングはセルボの伝統にふさわしいスペシャリティテイストで、最上級グレードには燃費性能にも優れた3気筒の直噴ターボエンジンを積むなど、やはりセルボという名前に負けないメカニズムを持っていたが、それでもセルボ・モードが4気筒だったことを考えると物足りない印象はあった。

 太いマフラーカッターなどセルボ・モードを感じさせるディテールを採用するなど古くからのファンにアピールする部分もあったが、やはり4気筒でなくなったこと、またMTの設定がなかったことが足を引っ張ってしまい、わずか3年でそのモデルライフを終えてしまった。

 そのトラウマなのだろうか、以来セルボという名前は復活していない。

4)ホンダ・オデッセイ(2021年販売終了の噂)

 日本にミニバン・ムーブメントを起こしたルーツであり、記念碑的モデルといえるのが1994年に誕生した初代オデッセイであることに異論はないだろう。FFベースの広いキャビンを持つボディに上手に3列シートをレイアウトしたことは非常にインパクトがあった。

 さらに、2003年にフルモデルチェンジした3代目では全高1550mmと立体駐車場に対応するサイズのミニバンという提案を行なった。全高を低めたことはハンドリングにプラスに働き、走りの楽しいミニバンという新しいキャラクターも手に入れた。4代目もキープコンセプトで進化した。

 しかし、2013年にフルモデルチェンジした5代目ではスタイリングもコンセプトも大きく変えた。日本市場ではミニバンといえばスライドドアというくらいのイメージとなり、後席ヒンジドアのオデッセイが生き残るためには変わらざるを得なかったのは事実だ。

 とはいえ、全高を1700mm近くまで上げ、スライドドアを得たオデッセイを見て、それまでの伝統を否定しているように感じたファンは少なくなく、一部には反発も呼んだ。マイナーチェンジによりハイブリッドを設定するなど商品力を上げていったが、往年の勢いを取り戻すには至っていない。そんなこともあり現行型で日本向けのオデッセイは生産終了になるという噂がまことしやかに流れている。

 ただし、中国ではスライドドアになったオデッセイは、プレミアムなミニバンとして人気を集めているという。日本では終わりになるかもしれないが、グローバルには現行型がオデッセイの価値を高めている。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
趣味
モトブログを作ること
好きな有名人
菅麻貴子(作詞家)

新着情報