クルマ好きの大好物「カーボン」「アルミ」「チタン」! じつは誤解も多い素材の中身とは (1/2ページ)

この記事をまとめると

■クルマにはさまざまな高級素材が各所に使用されている

■高級素材の多くは同じ体積ならば鉄よりも軽くて高強度であるものが多い

■高価であったり加工が難しかったりといったデメリットがある

軽くて強いボディを作るためにはなくてはならない

 クルマだけでなく、多くのもので、一般的な素材に対して、高級な素材というものがある。卑近な例で言えば、二貫で100円の寿司に対して、一貫3000円のマグロはわかりやすいだろうか。どちらも寿司だし、食べられるし、100円だってまずくはない。しかし違いはある。当然価格も高くなるのだが、その分、メリットがあるわけで、それに対して価値を見いだせれば許容できるというか、お金を払っても不満はないと言える。クルマにおける高級素材の存在価値を見てみることにしよう。

1)高張力鋼板

 クルマのメカニズムに興味がある方なら、最近、高張力鋼板や超高張力鋼板という言葉を聞いたことがあるだろう。英語にするとウルトラハイテンションスチールなどと呼ぶが、昨今の軽量化には欠かせない鉄板だ。クルマのボディは基本的に鉄板をプレスして形にしてそれを溶接や接着剤で付けて形を作るだけに、鉄板の素材は重要となる。とくに重量は燃費に直結するだけに大きな問題で、薄くすれば重量はてきめんに減るが、その分ペナペナになったりして、モノコックボディの場合、とくにボディを丈夫に形作ることが難しくなる。そこで高張力鋼板を使う。

  

 これはその名のとおり、張りがある鋼板なので薄くても丈夫な(強度がある)ボディを作ることは可能。強度があれば、衝突安全性も確保できる。ちなみに張力はあっても剛性は低いという点は注意だ。デメリットとしては、作れる製鉄会社が世界的にも限られていることもあり、価格が高いことと、補修がしにくいことだ。

2)チタン

 チタンは、宇宙関連でも使われる素材で、価格も高くてちょっとした憧れがある響きだ。チタンのシフトノブ、チタンボルト、さらにはチタンマフラーがお馴染みだし、エンジンに詳しい人ならチタンリテーナーというのもご存知だろう。

 ただ、言い方が悪いかもしれないが、チタンはそれほど万能ではないというか、夢の素材でもないというのが実際のところだ。メリットはチタン合金であれば硬いことと、軽いこと。硬くて軽いので、ホイールナットに使われるし、マフラーにも使われる。ただし、超高温には弱いので、大出力車には向いていないのはあまり知られていないところだ。剛性も低いので、簡単に言うと、硬くてちぎれにくいけど、衝撃を受けると曲がりやすいということになる。そのほかにも、硬いゆえに加工が難しく、曲がったエキゾーストパイプを作る場合はパイプを輪切りにしてつなげて作っている。

 素材自体も大量生産ができず、作る際も大量の電気を使うなど、コストがかかりすぎるなど、それゆえ使用用途は限られるわけだ。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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レストア、鉄道模型(9mmナロー)、パンクロック観賞
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