電気かガソリンかなんて議論はもはや問題外! 自動車メーカーに求められる重要課題とは (2/2ページ)

コネクテッドに対応できた自動車メーカーだけが生き残れる

 もちろんクルマも同様で、現在、世界には約13億台もの自動車が存在する。19世紀の末には数台しか誕生していなかったガソリンエンジン車という製品が、150年ほどでそこまで大きな存在となったのだ。

 いま、世界的な脱二酸化炭素が求められ、またSDGsという持続可能な開発があらゆる分野に求められることになったのも、20世紀という100年に日常化された暮らしや消費形態だけでなく、同じ20世紀を経過する間に約5倍へ増えた人口の影響が何より大きい。つまり、肥大した人口に対応した次なる暮らしの姿が求められているのである。

 クルマも、エンジンか電気かという議論はもはや不毛だ。今日にでも脱二酸化炭素を実現できなければ、次なるメタンの増加で気候変動は危機に瀕する。商品としてのクルマの進化だけでなく、共同利用(カーシェア)による大幅な保有台数の削減こそが求められている。

 それでも個人の移動の自由を守る仕組みが、コネクテッド(インターネット接続)なのだ。そこに気付いて事業を転換できた自動車メーカーのみが生き残れることになる。

 もちろん、運転の楽しさも継承されるべきだ。また、雇用も守られるべきだろう。だが、それは既存の事業形態を維持することとは意味が違う。新たな事業を創出し、それによって雇用を守り、なおかつ消費者の移動の自由と適正価格による満足をもたらし、いかに楽しさも残せるかこそ、いまの経営者に求められる資質なのである。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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