ボンネットは開けられない! ドアノブもない! BMW iXがタダモノEVじゃない6つの理由 (2/2ページ)

空調もサウンドもおまかせ! EV界の覇権は取れるか?

 3つ目は、驚くことにiXが携帯電話のように1つの端末として使えるようになる、「パーソナルeSIM」というBMW初搭載のサービス。5G搭載ということで、これは車両にあらかじめ内蔵されている仮想のSIMカードに、ユーザー自身の携帯電話のSIMカード情報をコピーすることで、iXの車両自体が一種の携帯端末として使えるという機能なんです。

 前席にも後席にもUSBがあり、iPadなどをヘッドレストに付けることもできるようになっており、仕事をしたりエンタメを楽しんだり、自由自在。走るオフィスとしても完璧で、リモートワーカーにも打って付けのクルマと言えそうですね。

 4つ目は、ヒーターがすごいこと。ご存じのようにEVは、寒い時期になると室内を温めるためのエアコンやヒーターで、かなりのバッテリーを消費してしまいます。EVオーナーさんはそこが悩みのタネで、航続距離を削りたくないがために、自分が厚着をしたりカイロを貼って運転するといった(笑)、なぜかちょっとアナログな手法を取ってしまいがちでした。

 でもiXは、4枚のドアパネルとセンターコンソール、運転席と助手席の足元のパネルを温め、その熱で乗員の身体を温めるというシステムを搭載。これは嬉しい機能ですよね。しかもバッテリーの消費を抑えるためだけでなく、ヒーターを全開にすると風の音がうるさいですが、それも抑えられるので室内の静粛性にも効果があるということです。

 5つ目は、そんな静かな室内だからこそ、とことんこだわったサウンドシステムが未来感たっぷり! iXには「HARMAN/KARDONサラウンド・サウンド・システム」、「BOWERS&WILKINSダイヤモンド・サラウンド・サウンド・システム」、「BMWアイコニック・サウンド・エレクトリック」という、オプションを含めて3タイプの特別なサウンドシステムが用意されています。

 そのうち「BOWERS&WILKINS」のシステムを試してみたのですが、なんと30個のスピーカー、7バンドイコライザーで最高の音響環境が車内全体に広がるだけでなく、磁石振動で音楽信号をシートに共有するシェイカーのおかげで、シートが震えて音の迫力が全身から感じられるのです。最新の映画館にいるような、車内ということを忘れそうなほど、一瞬で音や映像の世界に浸れる技術は感無量。充電している間に、車内でお気に入りのDVDを楽しむ時にも、そこらへんの映画館で観るよりいいかもしれないと思うほどでした。リアシートもベンチのように、背もたれがドア側までラウンドしていて、ゆったりとリラックスして座れるようになっているのもいいところです。

 6つ目は、オプション設定されているインテリア・カメラが意外な使い方ができて便利なこと。これは車内を映すカメラで、好きな時に車内の様子を写真に撮ることができます。後席の子供の寝姿があまりに可愛い! なんてときにパチリ。家族や友人たちと楽しいドライブの思い出にも、パチリ。今までとは違った記録が残せそうですよね。

 そしてもう1つの使い方として、リモートで車内の確認ができるということ。たとえばお財布を車内に忘れてきちゃったかも、なんて時にわざわざクルマまで戻らなくても、リモートで車内を映して、お財布があるかどうかをチェックできるのです。これも、ありそうでなかった機能ですね。

 ということで、いろんな方向の「未来」がぎっしりと詰まっている、革新的なEVであるBMW iX。日本ではまず航続距離425kmのiX40が受注開始されており、続いて630kmの航続距離を誇るiX50が上陸予定です。ぜひお近くのBMW販売店などでiXを見かけたら、ちょっと覗いてみて欲しいと思います。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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