これぞスズキの真骨頂! 新型アルトの価格は中身を見れば「恐るべき安さ」だった (2/2ページ)

かつてはなかった技術や装備がてんこ盛りでこの価格は安い!

 まずは、エクステリアデザインだ。顔つきのイメージは大きく変わっていないのだが、全高を50mm高くしたことで、ハイトワゴン系とまではいかないものの、日本のエントリーカー、軽自動車の最廉価モデルらしからぬ存在感を示している。このクラスで唯一、2トーンカラーが選べるようになったのも、アピアランス面での商品性をググッと高めている。もちろん、全高は1525mmだから、立体駐車場への入庫も容易なままだ。

 室内に乗り込めば、先代比室内高+45mmの恩恵が痛感できる。アルファードのようなミニバンも、室内高の余裕こそが人気、快適度の決め手だからである。合わせて、フロントドア開口部の高さも20mm高くなり、乗降性まで向上しているのだ。

 そして、1979年当時にはあるはずもない先進運転支援機能のスズキ・セーフティサポートは、最廉価グレードのAを含め(!)全グレードに標準装備。それも、衝突軽減ブレーキはふたつのカメラによる、夜間の歩行者も検知するデュアルカメラブレーキサポートに進化しているのである。

 さらに言えば、下手なコンパクトカーには標準装備されていない運転席&助手席、前席サイド、カーテンの6エアバッグまで(!)全グレードに奢られているのだから太っ腹というしかない。いや、日本のエントリーカー、軽自動車の最廉価モデルの域を大きく超えた上級安全装備が、新型アルトにはほぼすべて用意されている! それで100万円を切る価格で手に入るのだから、「どうだっ!」って感じである。

 そして何といっても、パワーユニットにスズキ自慢のマイルドハイブリッドが用意されている。さすがにマイルドハイブリッド搭載グレードになると、Sの109.78万円からとなってしまうが、ある意味、世界のハイブリッド最廉価モデルと言っていい(無論、2モーターのストロングハイブリッド、シリーズ式ハイブリッドのe-Powerなどとは機能・効能が異なるが……)。

 ところで、新車価格の安さそのものも重要だが、乗り始めてからの維持費も、1台のクルマを所有し、乗り続けていく上で重要な、ランニングコストの目安になる。新型アルトの燃費性能は、非マイルドハイブリッドの実質的一般ユーザー向けグレードのLでWLTCモード=25.2km/L。マイルドハイブリッドモデルなら同27.7km/Lとなり、いずれもクラス最高値。そうした経済性も価格に含まれると考えれば、さらに割安感は強まるはずである。

 それで先代同等グレード比(LとF)で5万5000円しか高くなっていないのだから、軽自動車で150~200万円が当たり前、また、身のまわり品や食材、家電品、そして輸入車を含むあらゆるモノの物価が急上昇している今、見た目の堂々感、室内空間のゆとりや機能&快適装備の充実度などを含め、実質的な一般ユーザー向けグレードで100万円を切っている価格は、どう考えても「超お買い得、安い!」というしかないと結論づけるのが正解なのではないか。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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