販売分析のスペシャリストが選んだ「今年のクルマ」! 寸前までヴェゼルが1位だったが……最後にノートに10点を入れたワケ (1/2ページ)

この記事をまとめると

■2021-2022日本カー・オブ・ザ・イヤーには日産ノートシリーズが選ばれた

■選考委員である筆者はヴェゼルに最高点を入れるつもりだったがノートに変更した

■納期遅延や日産の戦略などが影響したという

ヴェゼルの最長1年待ちに対してノートは3カ月程度!

 私が投じた第42回2021-2022日本カー・オブ・ザ・イヤーの配点は、1位の10点がノートで、2位は8点でヴェゼルという結果だった。

 両車を比べると、商品力はヴェゼルが上まわる。内装の質は互角だが、ヴェゼルはSUVでもあるから、後席や荷室はノートよりも広い。ハイブリッドのe:HEVも、巡航時にエンジンの駆動力をホイールに直接伝えて燃費効率を向上させるなど、ノートのe-POWERよりも機能が優れている。

 さらに価格は、ノートXが218万6800円だから一見すると割安だが、運転支援機能のプロパイロットとLEDヘッドライトはオプション設定になる。これらを加えると、セットオプションのために総額は270万円を上まわり、ヴェゼルe:HEV・Zの289万8500円に近付く。ヴェゼルの居住性や荷室の使い勝手が優れていることも考えると、当初はヴェゼルが10点で、ノートは8点と考えていた。

 ところがヴェゼルは納期を大幅に遅延させてしまう。販売店では「e:HEV・Zは半年で、PLaYは1年に達したから受注自体を中止している」と返答した。その点でノートは「納期は長引いているが、最長で3カ月程度」であった。

 今は約80%のユーザーが、今まで使ってきた車両を下取りに出して新車を買う。従ってコロナ禍の影響であっても、納期が予想外に長引くと、新車が納車される前に今まで使ってきた車両の車検期間が満了してしまう。

 そうなるとユーザーとしては、下取りに出す車両の車検を改めて受けたり、新車が納車される前に売却してクルマを持たない期間を過ごすなど不便が生じる。納期がユーザーの利益に大きな影響を与える以上、日本カー・オブ・ザ・イヤーの配点も当然に左右され、そこを考慮してヴェゼルは8点に下がった。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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