180km/hは足枷つきの姿! もしもスピードリミッターがなければ「あなたの愛車」は時速何キロ出るのか? (1/2ページ)

180km/hリミッターは解除しても違法ではない

 日本国内で販売される市販乗用車は、かつては上限を280馬力とするメーカー間の自主的な出力制限申し合わせ事項があったが、現在はこの規制もなくなり、500馬力を超すモデルも登場する時代となった。しかし、依然として続く日本独自の性能規制もある。速度の上限を180km/hとする最高速度規制で、この速度を超すとスピードリミッターが作用し、180km/h以上速度が出せない設定となっている(正確には、メーカーによってこの解釈は異なり、車種により180km/h以下で作動するスピードリミッターの設定もある)。

 さすがに100馬力のクルマで180km/hに達するのはむずかしいかもしれないが、150馬力のクルマと500馬力を超すクルマで、実質的な最高速度性能が180km/hで同じというのは、なんとも釈然としない。もし、スピードリミッターがなかったら、トップスピードはどのくらいになるのか、と考えたことはないだろうか。

 実際のところ、180km/hのスピードリミット機構は法令で定められた措置ではなく、自動車メーカー間の申し合わせによる自主規制で、解除しても法令に触れることはない。このため、速度を規制しているECUのプログラムを書き換えたり、専業メーカーが市販する後付けユニットの装着で、180km/hで作用するスピードリミット機能を解除することもできるようになっている。

 しかし、だからといって、誰もが高額を費やしてスピードリミッター機能の解除を望むものでもないだろう。動力性能自慢の愛車が、スピードリミッター機能を解除して、本来持てる性能をフルに発揮できるようになるのはユーザー心理として理解できるものだ。しかし、この性能をどこで発揮するかとなった場合、法令面と安全面の二重の意味で、一般公道では不可能だと考えざるを得ない。

 そこで、もしスピードリミッターがなければという仮の話で、最高速度はどのくらい出るのか検討してみようと思うのだが、じつは、これが非常にやっかいな話なのである。クルマの最高速度は、エンジン回転数(分速)を駆動系のトータル減速比(ミッション減速比、デフ減速比)で割り、これにタイヤの外周を掛け合わせ、それを時速に置き換えれば計算値として求めることはできるが、クルマの高速性能に対して非常に大きな妨げとなる空気抵抗値がわからないと、およその性能として導き出すことも難しいのが現実だ。

 というのは、空気抵抗は速度の2乗に比例して大きくなる特性があり、100km/h走行時の空気抵抗と200km/h走行時の空気抵抗とでは、速度は倍の変化になるが、空気抵抗は4倍も大きくなってしまうからだ。空力の重要性については、レーシングカーの世界に目を向ければ一目瞭然だが、300km/hを超す超高速の領域では、わずかの抵抗増が最高速度で20〜30km/hの違いに結び付くことも珍しくない。

 逆の言い方をすれば、同じ150馬力のエンジンを積んでいても、車高が低いスポーツカーと背の高いミニバンとでは、当然ながら最高速度でけっこうな違いが生じてくる。いわゆる前面投影面積と抗力係数の問題で、いずれも数値の小さなスポーツカーが有利なことは言うまでもない。また、車両重量の軽重も、最高速度値に結び付いてくることを見落としてはいけない。


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