コンパクトカーとは? 維持費からメリット・デメリット、選ぶポイントまで解説! (1/2ページ)

この記事をまとめると

■幅広い層に支持されるコンパクトカー

■多彩なモデルがラインアップされている

■定義や特徴、人気の車種などについて解説する

市場でのニーズが高いコンパクトカー

 エントリーカーやファミリーカーとして選ばれ、試運転初心者からシニアまで幅広い層に支持されるコンパクトカー。パワーユニットやボディタイプが多彩で魅力的なブランドが多いコンパクトカーについて、その成り立ちや定義、歴史、またメリット・デメリットなどを解説していきましょう。

そもそもコンパクトカーとは

 “コンパクトカー”というワードはクルマ好きのみならず一般的にも広く使われています。ただ、コンパクトカーに厳密な条件があるわけではありません。車体寸法やパワートレインの定義が決められている軽自動車とは違い、かなりあいまいなジャンルです。

 一般的にコンパクトカーとしてイメージされるクルマとは、以下の要件が備わるかと思います。

・全長4m程度
・排気量は1〜1.5Lくらい
・5ナンバーサイズ

 いわゆる欧米でセグメントされる「Aセグメント(全長3.7mまで)」や「Bセグメント(同3.7〜4.2m)」を指すケースが多いですがCセグメント(全長4.2〜4.5m)に属するフォルクスワーゲン・ゴルフもコンパクトカーと思うユーザーも少なからずいるはずです。

 このように明確な定義を記すのが難しいのがコンパクトカー。ざっくりですが、軽自動車ではなく、取り回しがよく運転しやすい小さなボディサイズや小排気量車がそれにあたると思われますが、今回はコンパクトカーを深堀りしていきましょう。

 なお、今テーマでは“軽自動車以上(登録車)で排気量1.5L程度(※ハイブリッド車含む)の国産車をコンパクトカーと位置付けページを構成します。

コンパクトカーの歴史

 国内においてコンパクトカーが誕生したのは1960年代に入ってから。1950年代後半に軽自動車規格が定められ、また通産省(現・経済産業省)が提唱した国民車構想をベースとし軽自動車よりも一回り大きく実用的な大衆向けの小型車として生まれたのが国産コンパクトカーの祖となります。

 そんな歴史を元に考えるとコンパクトカーのパイオニアといえるのがトヨタ・パブリカでしょう。全長3580mm、水平対向2気筒エンジンを搭載したパブリカは発売当時大きな話題となりましたが、簡素すぎる装備やデザインが仇となり販売は低迷。その後、豪華仕様の追加やマイナーチェンジにより排気量拡大やデザイン刷新を行うこととなりました。

 その後、日産・サニーやトヨタ・カローラ登場などいわゆる「大衆車」の成功や排ガス規制に対応したことを理由に国内外で人気を集めたホンダ・シビックなどが1970年代までに続々と発表されていきますが、1980年代に入るとリッターカーと呼ばれるジャンルが登場。

 名前通り、1L程度のエンジンを搭載するリッターカーは現在までブランドが続く日産・マーチやダイハツ・シャレード、スズキ・カルタスなどがそれに当たります。リッターカーの多くにスポーツ仕様も用意されたことで、エントリーカーとしてだけでなく走りを重視する若者から大きな人気を集めました。

 またリッターカーだけでなくホンダ・シビックやトヨタ・スターレット、日産・パルサーなどのコンパクトカーに設定されたスポーツ仕様はボーイズレーサーやホットハッチと呼ばれ走り屋の支持を得ています。

 1990年代後半から2000年代以降、若者の人気は三菱パジェロなどのRVに集まったことでボーイズレーサーやホットハッチは一気に廃れてしまいました。またバルブ崩壊などの影響もあったのか、コンパクトカーは走りよりもファーストカーとしても使える実用性が重視される時代となったのです。

 そんなユーザーからのニーズを備えたトヨタ・ヴィッツが1999年にデビュー。2001年にはセンタータンクレイアウトを備えたことで広い室内空間を実現したホンダ・フィットが登場するなどファーストカーになりうるコンパクトカーに注目が集まりました。

 その後、トヨタ・アクアのような低燃費性能を売りとするハイブリッド車やスズキ・ソリオなどのように全高を高く取り広い室内空間を実現したハイトワゴンなどが現在までに登場。1990年代までほど車種は多くはないですが、GRヤリスのようなホットハッチも登場しています。

コンパクトカーのメリット・デメリット

 まずはコンパクトカーの魅力やメリットを挙げていきましょう。

メリット1:取り回しが良いボディサイズ

 安全性能などを理由に昨今登場するクルマはボディサイズの拡大が止まりません。初代が全幅1740mmだったBMW・X5の現行モデルはなんと全幅2mオーバー! 日本の道路環境では扱うのがイヤになるほどのボディサイズとなってしまいました。

 その点、コンパクトカーであれば全長、全幅ともに使い勝手がよくより回ししやすいボディサイズに抑えられています。都心部や狭い道が続く住宅街などで利用しやすいメリットを備えています。

メリット2:リーズナブルな車両価格

 新車をなるべく安く購入したいとなるとその候補はコンパクトカーになります。

 日産マーチのエントリーモデル“S”は128万9200円、トヨタ・ヤリスのエントリーモデル“X・Bパッケージ”は139万5000円などコンパクトカーの新車購入価格は登録車のなかでは手に入れやすい値付けとなっています。

 ちなみに軽自動車で人気が高いホンダ・N-BOXは一番リーズナブルな“G”で144万8700円。税金などの違いはありますが、コンパクトカーの価格がリーズナブルなことがわかりますね。

メリット3:ニーズに合わせて選択できる豊富なラインナップ

 コンパクトカーを購入したいユーザーがみな安さだけを求めているわけではありません。

 家族使いでミニバンがほしいけど駐車場のサイズが限られている、コンパクトなボディを活かしたキビキビ走るスポーティなモデルが欲しい、SUVを買いたい、経済的に使えるハイブリッドカーを購入したいなどコンパクトカーは様々なニーズに対応できるモデルが販売されています。

 選択肢が多いことがコンパクトカーの大きなメリットではないでしょうか。

 家族での日常使いにはハイトワゴンのスズキ・ソリオやダイハツ・トール、走りを求めるならスズキ・スイフト スポーツ、SUVもマツダCX-3やトヨタ・ライズなどが存在、燃費重視ならトヨタ・アクアなどのハイブリッド車を選択可能などなどコンパクトカーは目的に合わせ選ぶことができるためユーザー的にありがたいジャンルです。

 ただ、コンパクトカーにもデメリットがいくつか存在します。

デメリット1:軽自動車より下取り価格が劣る

 今どきの軽自動車は広い室内空間を誇っていることや先進安全装備を装着しているなどコンパクトカーに劣らない実用性を備えています。しかも、税金が登録車より安いメリットがありコンパクトカーの大きなライバルとなる存在です。

 この軽自動車に対してコンパクトカーが劣るのが下取り価格。もちろん一部のSUVやハイブリッド車はリセールバリューが期待できますが、全体で見ると下取り価格が高いのは軽自動車で間違いありません。

デメリット2:インテリアの質感

 コンパクトカーのメリットとして車体価格の安さを挙げましたが、それは登録車においてはエントリー部門を担う車種が多いため。そんなジャンルだけにインテリアに豪華さや質感を求めるとがっかり感を味わうことになります。


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