ヒョンデ13年ぶりの上陸は日本車の脅威となるか? 導入された2台を国産ライバルとガチ比較してみた (2/2ページ)

世界に2車種しかない燃料電池車はヒョンデのほうがお得か

 さて、未来といえばトヨタの燃料電池車「MIRAI」で、日本市場において唯一のライバルとして名乗りを上げたのがヒョンデ・ネッソだ。

 MIRAIはセダンスタイルのRWD車、ネッソはSUVスタイルのFWD車なので、クルマのキャラクター的には比較対象とするのは適切ではないが、燃料電池車同士ということで、こちらもスペック比較してみよう。

 比較項目は、同じく価格、航続距離、最高出力、車両重量。ネッソがモノグレード構成なので、MIRAIについてはベーシックグレードを比較対象としてみた。

MIRAI:710万円/850km/134kW/1920kg
ネッソ :776万8300円/820km/120kW/1870kg

 このようにスペックを比較すると、全体的にMIRAIがリードしている印象を受ける。水素タンク容量を比較してもMIRAIは141リットル、ネッソは156.6リットルとなっている。タンクが小さくて航続距離が長いのだから水素の消費率についてもMIRAIのほうが優秀なのだ。

 ただし、ユーザーの選択としてどちらが選ばれるかを考えるとネッソ優位になると思える。その理由はクリーンエネルギー車補助金の設定にある。MIRAIの補助金は全グレードで140万3000円となっているが、ネッソは210万5000円となる。つまり、補助金を計算に入れると、ネッソのほうが若干だが安くなってくるのだ。結果として日本における実質最安値の燃料電池車はヒョンデ・ネッソになっているのが現状だ。

 燃料電池車の購入ユーザーは官公庁や企業が中心なので、コスパがどうこうというよりも取引などの関係やバランスを考えた選択をすることが多いので、こうした価格差を云々することにほとんど意味はないのだが、補助金込みで同等の価格感になるように工夫してきたという点で、ヒョンデがどれだけ本気で日本市場に参入しているかが理解できるというものだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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