深刻な納期遅延で新車代わりの「高年式」だけじゃなく10万円前後の「低年式」中古車もバカ売れ! 誰が何の目的で買っているのか? (2/2ページ)

低年式車は乗り換えの「つなぎ」

 軽自動車を例にあげたが、高年式車は新車を乗り継いできた人のニーズがあり需要がより増えているようなのだが、低年式車のニーズが多いのは少々不思議に見える。

 これも軽自動車を例に挙げると、走行距離が10万km近辺で初度届け出から10年以上あたりとなり、10万円前後のプライスボードをつけた中古車がよく売れているというのである。確かにこれも、定点観測している小規模ながら10万円前後の軽自動車の中古車ばかりを販売している中古車専売店を見ていると、納期遅延が目立ち始めた2021年秋ごろには一時的に展示車がなくなり(売り切れた?)、その後は展示されてもすぐ売れてしまう状況が続いている。しかも、納期遅延が深刻になる前には数万円程度だった中古車が10万円強の価格となっており、程度も若干悪くなっている、つまり明らかに低年式中古車でもタマ不足であり価格上昇しているのである。

 なぜこのような低年式中古車もよく売れるのかと考えていると、事情通が次のような話をしてくれた。

「車両保険で“代車費用特約”を付帯していると、修理などをする期間として1カ月間にかかるレンタカー費用を車両保険でカバーしてもらうことができます。修理だけでなく、全損の場合も新たな新車が納車されるまでカバーされるのですが(1カ月)、現状では納期遅延が深刻なので1カ月では足りないのが現状です。ケースバイケースで数カ月間借りることもできるようですが、いまどきは数カ月で納車となる新車も限られてきます」。

 ちなみに2021年秋に、新型コロナウイルス感染予防のための行動自粛規制が一時的に緩和された時には、コロナ禍となって稼働台数を減らしていたなか、需要が急に増えただけでなく、代車特約で貸し出していた車両が納期遅延などの影響で返ってこないことも加わり、車両クラスによっては貸し出し車両が一時的に足りなくなる事態も発生している。

 仮に事故で全損し、乗り換える新車を購入したのはいいが納期が半年かかかるとする。1カ月は代車費用特約でレンタカーに乗れたとしても、残りの5カ月を自腹でレンタカーに乗るとする。格安レンタカー会社ではマンスリー料金もあるが、ここでは仮に1日5000円とすると30日間で15万円もかかってしまうので5カ月ならば75万円にもなってしまう。ある格安レンタカー会社でもっとも安い料金クラス(軽自動車)のマンスリー料金は約2.5万円なので、それでも約12.5万円もかかってしまう。そこで、“それならば”ということもあり、超低年式の超格安中古車を購入して乗り継ぐニーズも目立っていることも、タマ不足傾向にさせているようである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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