クルマのデザインといえばいの一番に挙がる超名門! じゃあピニンファリーナのベストデザインは何か独断と偏見で決めてみた (2/2ページ)

アルファロメオの革命児もピニンファリーナがかかわっていた

・抜群の3ボックスプロポーション

 フェラーリのようなスポーツカー、スーパーカーの一方で、ハッチバックやセダンといった実用車のデザインもピニンファリーナ・デザインの見所である。とくに提携関係のあったプジョーでの仕事は魅力的で、「205」「405」「306」など、いずれもファンが多い。

 中でも、ダビデ・アルカンジェリの手になる「406クーペ」は、その流麗さからベストと評されることが多い。プジョーの社内デザインを基本とするセダンに対し、外板パネルを専用設計としたクーペは、ピニンファリーナ最後のプジョー車として、生産自体が同社内で行われた点もまた人気の理由だ。

 ただ、ここではより実用的なセダンとして、もうひとつの才能に注目したい。それは、アルファロメオ「164」である。

 デザインは、同社の「GTV」「スパイダー」という極めて個性的なクルマを手掛けたエンリコ・フミア。4社共同の一括プロジェクトとして開発された164は、フィアット「クロマ」、ランチア「テーマ」、サーブ「9000」とプラットホームを同一とする兄弟車だ。

 しかし、164はこのなかでも格段に上品かつ端正であり、同時にスポーティでもある。3ボックスセダンとして極めてバランスのとれたプロポーション、プレスドアによる骨太の面構成、ボディのアクセントとなる彫りの深いキャラクターラインを持つ。「FFの大型セダンなどアルファロメオじゃない」というファンの声は、このスタイルを前に消え去ったと言われている。

 ピニンファリーナでは、このエンリコ・フミアも含め、担当したデザイナーの名前を公表しているのが興味深い。チームワークであるカーデザインでは、ひとりのデザイナーを特定するのは難しいとされるが、可能な限りオープンにする、その姿勢も同社を魅力的にしている要素なのである。


すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

サラリーマン自動車ライター

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いすゞFFジェミニ4ドア・イルムシャー(1986年式)
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オヤジバンド(ドラムやってます)/音楽鑑賞(ジャズ・フュージョンなど) /カフェ巡り/ドライブ
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筒井康隆 /三谷幸喜/永六輔/渡辺貞夫/矢野顕子/上原ひろみ

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