なんと10年前にエコでバカッ速のスーパースポーツ! ポルシェ918スパイダーの「最先端っぷり」がタイムマシンレベルだった (2/2ページ)

時代を先どるPHEVでシステム最高出力は脅威の887馬力

 リヤのスポイラーとディフューザーはアクティブ式で、これによって918スパイダーは全速度域で理想的な空力特性を得る。二分割式のルーフは着脱が可能で、フロントフェンダーにはあの「917K」のモチーフが採り込まれていることもポルシェのファンには一目瞭然といえるのではないだろうか。

 ミッドに搭載されるエンジンは、「RSスパイダー」用のそれを始祖とする、4593cc仕様のV型8気筒DOHC。コンセプトカーのそれからは1リッター近く排気量を拡大した計算になるこのエンジンは、それ単体でも612馬力の最高出力を発揮する高性能なもの。高出力化と同時に軽量化も開発時の重要なテーマであり、エンジンの構成部品にはチタン製コネクティングロッドなどが採用されているほか、ドライサンプの潤滑システムに採用される4個のバキュームポンプもプラスチック製となる。

 エグゾーストシステムが上方排気となるのも918スパイダーの特徴だが、これはボディ下部を流れてきたエアとの干渉を嫌ったことが直接の理由であることは間違いのないところ。組み合わせられるミッションが7速PDKとされたことも、カレラGTでの6速MTからの大きな進化といえる。

 918スパイダーには、さらにこのほかに3個のエレクトリックモーターが搭載されている。このうち2個はフロントアクスルの左右各々に、残りの1個はPDKを介してリヤアクスルを駆動する構造だ。結果的に918スパイダーが発揮可能な最高出力は、システム全体で887馬力。二次電池は液冷方式のリチウムイオンバッテリーで、キャビンの後方にそれは搭載されている。

 ちなみにコンセプトカーの発表時点でポルシェが掲げていたゼロエミッション走行の目標値は、最高速が150km、最大航続距離は25km。

 最高速は345km/h、0-100km/h加速は2.8秒という驚異的な運動性能を実現しながら、その一方で3L/100kmという燃費性能(NEDC値)を得た918スパイダーは、まさに新世代のスーパーカーそのものだったのである。

 忘れないでほしいのは、それが今から10年ほども前のストーリーであったということにほかならない。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
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