グレードマウントはもはや時代じゃない!? クルマの「実質モノグレード化」が進んでいるワケ (2/2ページ)

過去のクルマを振り返ると選択肢が豊富だったことがわかる

 4代目カローラセダン(前期)のデビュー時は、2ドア&4ドアセダン、そして1300cc、1500cc、1600ccエンジンがラインアップされていた。1600ccはツインカムでGT専用ユニットとなり、SEは4ドアのみで、エンジンも1500ccのみであったが、GLは1300cc、1500ccエンジンをラインアップし、4ドアのほか2ドア(1300のみ)も選ぶことができた。DXも1300と1500cc、そして4ドアと2ドア(1300のみ)が選択できたので、ラインアップを見る限りは、DXとGLが販売中核グレードとなっているのが自ずとわかり、DXはやや装備内容が不足気味だったのでGLがよく選ばれることとなっていた。

 4代目カローラと同時期にラインアップされていた4代目マークIIでは、たとえばセダンで見ると、2000cc直6エンジンを搭載するのは、豪華仕様のグランデ以外に、LGツーリング、LG、LEと合計4タイプだった。グランデから順番に装備内容が簡素化されていくのだが、LEになるとマークIIといえども窓の開閉は手動式となり、ほかでは5速MTとOD(オーバードライブ)付き4速ATのみなのに、なぜか4速MTも選ぶことができた。グランデだけでもいいような気もするが、「多気筒大排気量車は自分のクルマの使い方では必要だが、過剰装備な豪華仕様車はいらないという人もいる」とアメリカで聞いたのを思い出した。いまと比べると80年代あたりまでは多彩なバリエーションを持つモデルがほとんどであり、同じグレードでもエンジンにいくつか種類があり、お気に入りを選ぶことができたのである。

 4代目カローラセダンでは、当時は上級車の証ともいわれた丸目4灯式ヘッドライトを採用していた。これはスタンダードでも採用されていたのだが、1960年代まで遡ると基本的に丸目4灯式ヘッドライトでもスタンダードだけ丸目2灯式となっていたモデルもあった。

 過去には厳密な“階級社会”のようなグレード構成(しかも多い)があった。しかしあったとしてもシンプルで際立った装備差のない現在のグレード構成は、世相を反映したかのように、差別のない、まさに“グレード構成の民主化”が進んだ結果とも言えるのかもしれない。そのせいもあるのか、トランクなどにグレードを表すバッジやシールを装着するモデルもほとんどなくなった。少年時代にかじりつくようにクルマのカタログを見てグレード研究をしていた筆者にとっては、少々寂しい時代になったものだと感じている。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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2019年式トヨタ・カローラ セダン S
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