我慢すらも快感になる! 乗ったが最後抜け出せない「沼感」全開の個性派クルマ5選 (2/2ページ)

楽しさと引き換えに我慢を強いられる可愛いクルマたち

 3台目は、イタリア生まれの世界的な人気モデルで、ルパン三世の愛車としても親しまれているフィアット500がついに、電気自動車になったと話題のフィアット500e/500eカブリオレ。

 とくに、500eカブリオレは電気自動車で唯一のオープンモデルとして、見た目でキュンと心を掴まれちゃう人も多発中なんです。

 ボディサイズは少しずつ大きくなっているものの、全体的なプロポーションはガソリンモデルと変わらず、イメージを統一したデザインはさすが。インテリアもスッキリと未来的になりつつも、いろんなところにイタリアらしいこだわりが感じられて、センスの良さにうっとり。

 そして、乗ってみると、ガソリンモデルではデュアロジックというミッションが、うまく操作できるようになるには慣れが必要だったのですが、モーター走行になったおかげで誰でも最初から、なめらかにパワフルに走れるようになったのもポイントです。

 でも、走行モードで「シェルパ」を選択すれば、アクセルペダルだけで減速できるようになり、あのガソリンモデルのような走行感覚も健在。なめらかにも、スポーティにも、1台でどっちも楽しめるようになったのも500eならではです。

 500eは一充電あたりの最大航続距離が335km(WLTCモード)で、200Vの普通充電のほかに急速充電器にも対応しているので、街中メインの使い方はもちろん、これならロングドライブにも行けそう。

 と、思う人が多いと思うのですが……。じつは、ボディサイズやデザインの関係で、500eには充電口が1つしかありません。

 これは通常、普通充電に使うところです。じゃ、急速充電を使う時にはどうするのかというと、専用のアダプターが必要。これは自分で用意して持ち運ばなければならず、まだプロトタイプの状態だというそのアダプターを見せてもらったところ、予想よりちょっと大きめでビックリ。

 イメージとしては、楽器のトランペットくらいというサイズでしょうか……。これを常にトランクや後席に置いておくのはちょっと邪魔かなぁという印象。なので、頻繁に長距離を走る人よりは、普段は街中をチョイ乗りするのがメインで、たまにロングドライブに出かけたいな、くらいの人におすすめかなと思います。

 4台目は、公道を走る乗用車のなかで、もっともフォーミュラカーに近いと言われている、英国の古典的なライトウエイトスポーツを守り続けているケーターハム。

 もともとは、オーナーが自分で組み立ててレースに参戦するためのキットカーだったのですが、日本でもワンメイクレースが始まったり、エンスー雑誌で取り上げられたりして人気沸騰。

 現在もスズキ製のエンジンを搭載した「セブン170S」などが販売されています。ほぼ骨格とタイヤのみに近いデザインを見ても予想がつくと思いますが、車両重量はなんとたったの440kg。軽自動車のアルトスポーツよりさらに軽いので、そのドライビングは誰もが笑顔になる楽しさ。

 それにどハマりして、手放せなくなってしまったファンも多いのです。が、楽しさと引き換えにガマンしなければならないモノも多く、公道を走っていると大多数のクルマからは見下ろされるほどの低さで、見ての通りフロントスクリーンもほぼないので、飛石はバンバン顔や身体に当たるし、トラックやバスの後ろについた日には、排ガスをモロに受けてゴホゴホ。

 雨が降ってきたら、一応、幌はあるのですが、取り付けは面倒で、幌をつけると今度は乗り降りするのも至難の業。なんたって、ドアもないんですから。オーナーさん曰く、頭からではなくお尻から先に入れるのがコツだそうなんですが、見ている人はみんな怪訝な顔をするそうです。

 でも、そういう不便なところ、手がかかるところもひっくるめて、ほかでは味わえない魅力なんでしょうね。

 5台目は、2022年6月1日に世界初公開されると同時に話題をさらった、GRカローラ モリゾウエディション。

 同時に発表されたGRカローラ RZも、カローラとして単独でのスポーツカー登場が22年ぶりとなることから、かなり注目度が高いのですが、モリゾウエディションはそれにプラスして、台数限定モデルということもあって、誰もがあっと驚く内容となっていました。

 それが、5ドアモデルなのにリヤシートがない! なんと、軽量化を追求するあまり、ふたり乗り仕様になっているのです。

 まだ価格など詳細は明らかになっていないものの、これまでは5ドアのスポーツカーならば、家族を説得して購入しやすいという考えを持つのが一般的でした。304馬力/400Nmを発揮する1.6リッターターボに、剛性を強化したボディやハイグリップタイヤを採用したモリゾウエディションは、そのスペックから想像するだけでも、骨太な走りを披露してくれそう。

 それだけに、「よし、5ドアなら奥さんに相談できるぞ」と心動いたと思ったら、「2シーターか〜い」とガックリきた人も多いかもしれませんね。

 でも、そこまで徹底した軽量化と走りへのこだわりが詰まったGRカローラ モリゾウエディションは、手に入れることができればきっと大満足の楽しさが待っていることでしょう。

 ということで、いろんな個性を持ち、不便さや困ることなどもある反面、振り切った楽しさが確約されているクルマたちをご紹介しました。「これならお金を出す価値がある」と思うクルマと出会えることは、とても幸せなことですね。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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