何でこんなにスゴいのか? 50周年を迎えた「バカっ速クルマだらけ」のBMW Mをまるっと紹介 (2/2ページ)

いまや社名の「M」を冠するモデルは高性能モデルの証に

 バイエルン特有の無駄のない機能美エアロ・シルエットは、おそらく日本では族車カルチャーに影響を与えたが、欧州では美術品オークションの運営に携わっていたクルマ好きの手引きにより、アレクサンダー・カーダーやロイ・リキテンシュタイン、アンディ・ウォーホルら現代アートの巨匠たちのキャンバスになった。それが1975年に3.0CSLから始まり、後にM1プロカー、M3GT2へと受け継がれていく「アートカー」だ。

「速さ」と「美しさ」をただ両立させるだけでなく、今の時代にふさわしいそれらとは何か、乗り手に問いかけてくるようなBMWイズムはかくして確立された。

 いずれBMW Mは、数々の偉業を達成してきただけでなく、他メーカーに先んじて早々に達成してきたことに確かな実績をもつ。たとえば欧州F2のコンストラクターズ・タイトルで圧倒的な強さは後にホンダに譲ったが、プロトタイプからGT規定に戻されて早々のル・マン24時間を既存の市販V12が制するなど、その優位性をことあるごとに示してきた。

 排気量1リッターあたり100馬力を達成した3.2リッター321馬力のストレート6ことS50B32を積んだE36のM3やZ3 M、あるいは挟み角90度V10の5リッターで507馬力を達成したE60/E61世代のM5などは、BMW Mの金字塔にふさわしい市販モデルといえる。

 ところでMテクによるエンジンの何が凄いかといえば、じつはロングストロークであることが多く、高回転までカイイイイーンとブンまわってパワーを稼ぐショートストロークやスクエアのエンジンとは、まるで感触が異なる。

 むしろレッドゾーンはだいたい7000rpm半ばぐらいのものだが、パワーバンドに入ってからはピストンスピードの速さそのものでパワーを絞り出すような力強さで、それに伴われる緻密さ・重厚さの感触がハンパない。

 ちなみにi3で市販EVをドイツ車として先駆けたBMWは、その名が示す通り、気筒内での燃焼爆発によるものか電気によるものか、方式の如何に関わらず、「モーター」に前のめりな作り手であり続けているのだ。


南陽一浩 NANYO KAZUHIRO

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