ラリー界のレジェンドが直接指導! ヌタハラ・ラリースクールの「濃すぎる」内容を密着取材した (2/2ページ)

参加すれば確実に腕が上がる超実践的な内容が魅力

 まず、ヌタハラ・ラリースクールで注目したいポイントが充実したカリキュラムにほかならない。2日間の短期集中型のトレーニングで、開講式を経て7月16日のレグ1はボートレースからつの駐車場を舞台に、受講生たちが自分のクルマを使用して走行トレーニングを実施。

【関連記事】サンルーフなワケでもないのになぜ? ラリー車の屋根にある「謎の穴」の正体とは

パイロンスラローム画像はこちら

 パイロンで設けられたショートコースながら、走行解析システム「デジスパイス」を使用することで自分のドライビングが可視化されていることが同スクールの特徴のひとつとなっており、講師陣のデータと比較してドライビングのレクチャーを行なうことによって、クリッピングを意識したライン取りやブレーキングおよびアクセルオン・オフのポイントなどがわかりやすくレクチャーされている。

デジスパイス画像はこちら

 またヌタハラ・ラリースクールではドライバーだけでなく、コ・ドライバーも対象にしたレッスンが行われており、ドライバーともに走行トレーニングに参加することでドライビングのクセを把握したあと、別教室でコ・ドライバーを対象にした座学講習を実施。ここではペースノートの表現の仕方やリーディングのポイント、自分たちやライバルクルーのパフォーマンスの分析の仕方などを講師の経験を交えてレッスンしていることから、コ・ドライバーにとっても充実した内容だ。

ペースノート画像はこちら

 このようにレグ1は基礎的なカリキュラムでレッスンが行われてきたが、ヌタハラ・ラリースクールの真骨頂はレグ2にあり、17日のレグ2は林道のワイディングに移動して、SSを舞台に実技走行を実施。レッキを経て、コ・ドライバーとともにペースノートでドライビングするなど、より本格的なトレーニングが実施されていることも同スクールならではの特徴と言えるだろう。

GRヤリス走り画像はこちら

 SSの距離は2km前後ながら、全日本ラリー選手権の「ツール・ド・九州」でも使用されている本格的なステージで、ドライバーはレグ1で学んだ基礎をSSで再現できるようにトレーニングを行うほか、コ・ドライバーもペースノートの作り方やリーディングを確認できる。もちろん、レグ2でもデジスパイスを使用したデータ解析が行われるほか、見本データとして奴田原がTRDのGRヤリスで走行したデータや受講生のマシンで走行したデータと比較できることから、ドライバーは自分の課題を意識しながら走行可能だ。

86走り画像はこちら

 もちろん、奴田原が作成したペースノートも教科書として公開されていることから、コ・ドライバーにとっても得るものが多い。この林道での走行トレーニングを主体としたレグ2をもって、ヌタハラ・ラリースクールの密度の高いレッスンは終了となるが、この間にコーチの奴田原や炭山が、受講生のクルマに同乗してドライビングすることも同スクールの特徴と言える。

同乗走行画像はこちら

 まさにヌタハラ・ラリースクールは充実したカリキュラムとなっているのだが、これに加えて講師陣の豪華なラインアップも同スクールの特徴となっている。

 まず、総合監修を務める奴田原のほか、国内外のラリーで活躍し、現在は全日本ダートトライアル選手権で活躍する炭山裕矢がドライバー講師を担当。一方、コ・ドライバーは国内外のラリーで豊富な実績を持つ保井隆宏、全日本ラリー選手権で2度のチャンピオン経験を持つ藤田めぐみがコーチングスタッフを担当している。これに加えて、かつて奴田原のコ・ドライバーを務めて全日本ラリー選手権でチャンピオンに輝いたほか、GPS小型データロガー、デジスパイスの開発者でもある佐藤忠宜がデータ分析コーチを担当するなど講師陣も充実した顔ぶれだ。

ラリースクール講義風景画像はこちら

 このヌタハラ・ラリースクールについてドライバー講師の炭山は「減速・加速をどのポイントに持っていくのかが重要なんですけど、データロガーを使用しているのでわかりやすいですよね。これに加えてラリーではペースノート作りやコ・ドライバーとの連携も学べると思います。スクールでは僕や奴田原さんの声とデータで意識すべきポイントやヒントがわかるので、自信を持ってブレーキを踏めたり、ツッコミすぎがなくなったりできると思います」とのこと。

講義風景画像はこちら

 さらにコ・ドライバー講師の保井も「経験者が多いので、これからステップアップするためにどうすればいいのか? ドライバーが走行トレーニングで走らせ方を学ぶと同時に、コ・ドライバーもペースノートの表現の仕方やロストの防ぎ方、ライバルチームとの比較の分析の仕方を学んでもらうようにカリキュラムを組んでいます」と語る。

ペースノート画像はこちら

 さらにデータロガーを駆使したレッスンについてもデータ解析コーチの佐藤によれば「もともとプログラムが本業なので、ライバルとの走りを比較したくてデジスパイスを開発しました。このスクールでは、タイヤの限界や荷重移動の基礎知識を学んだ上で、走行軌跡を見ながら、どういう風にドライビングを修正していくのかをアドバイスしています。エンジニアではなく、ドライバーが理解できるように開発したソフトなので、わかりやすいと思います。実際、データを見ていても2日間のレッスンで、多くの参加者がブレーキ、アクセルともにメリハリのあるドライビングができるようになりました」とのことだ。

データロガー画面画像はこちら

 事実、ヌタハラ・ラリースクールの参加者たちは、この2日間のレッスンで多くのヒントを掴んだたようで、九州ラリー選手権でドライバーとして活躍する城戸新一郎は「ラリー歴は20年ぐらいありますが、インプレッサからGRヤリスに乗り換えたことで、ドライビングに悩むようになりましてヌタハラ・ラリースクールに参加しました。レグ1のパイロンコースでドライビングのポイントがわかったし、レグ2の林道でもブレーキングが意識できるようになりました。今までアンダーステアが強かったんですけど、アンダーの原因は自分にありました。データも見やすいし、講師陣のアドバイスもわかりやすいので、2日間だけのレッスンでしたが多くのことを得ることができました」とのこと。

GRヤリス走り画像はこちら

 また城戸とコンビを組むコ・ドライバーの橋口由衣も「ラリーキャリアは7年ぐらいありますが、ペースノートの表現の仕方とか、知らないことも多かったので勉強になりました。ペースノートの作り方もブレーキングポイントを意識するようになったし、ドライバーと一緒に表現を考えるようになりました」と語る。

 また三重県から参加したドライバーの笹岡亮佑も「ドライバーとしては6年目ですが、伸び悩んでいる状態だったので初めて参加しました。アクセルを踏みながら曲がっていたりと、データロガーで自分のドライビングの特徴がわかりましたし、ペースノートの作り方に問題があることも分かりました」と語れば、笹岡とコンビを組むコ・ドライバーの加藤昭文も「ドライバーもドライビングが見直せたし、それに合わせてペースノートも修正してきました。だいぶん、メリハリのある走りになったと思います。三重県からきた甲斐がありました」と手応えを語る。

コルト走り画像はこちら

「日本のレーシングスクールや海外のラリースクールを参考にしながら、講師陣と試行錯誤をしてカリキュラムを作ってきた。とくに経験何年以上という資格を設けていないので初心者も参加可能。スキルに応じたレッスンを行なっているし、できるだけ実践に近い形式のスクールにしたくて、参加人数を制限して密度の濃い内容にしているので多くのことを吸収してもらいたい」と奴田原が語るように、ヌタハラ・ラリースクールは実践的なレッスンとなっているだけに、若手ドライバーにとっては、ステップアップに向けて多くのことを吸収できるほか、キャリアのあるドライバーにとってもブレイクスルーのきっかけとなるに違いない。

ヌタハラ・ラリースクール講義風景画像はこちら

 マシンのアップデート以上に、クルーのアップデートは効果が高いだけに、SRS-フォーミュラが日本のレースシーンで名門スクールであるように、ヌタハラ・ラリースクールも日本のラリーシーンで名門スクールとなるに違いない。

名前:
廣本 泉
肩書き:
JMS(日本モータースポーツ記者会)会員
現在の愛車:
スバル・フォレスター
趣味:
登山
好きな有名人:
石田ゆり子

画像ギャラリー


新着情報