もう買っても平気? いやまだ早い? EVを買っても大丈夫かのセルフチェック5つ (2/2ページ)

最低限の点検の知識が必要

 3つ目は、タイヤの空気圧チェックなど安全運転のための点検を、ある程度は自分で行えるかどうか。これはEVの意外な盲点なのですが、ガソリン車の場合はガソリンスタンドに行けば、無料点検や空気圧チェックなどを誰かにやってもらうことができました。でも、EVはガソリンスタンドに行かなくていいというのもメリットの1つなので、わざわざタイヤチェックや点検のためだけに行く人はほとんどいないと思います。

 外出先にある急速充電器には、そうしたメンテナンスをしてくれるサービスは基本的にないので、そうなると月に一度は空気圧を適正にしたり、ボディなどにも傷や不具合がないかどうか、安全運転のためにも自分でちゃんとできる人の方が、EVに向いているということになります。もちろん、ガソリンスタンドでも洗車をしたついでにタイヤの空気圧チェックをお願いすることは可能ですが、自宅の周辺にガソリンスタンドがないという理由でEVに乗り換える人もいますので、やはり最低限、安全点検の知識と道具は必要かと思います。

 4つ目は、気候があまりに暑い地域、寒い地域では、バッテリーの劣化が早まってしまったり、電力消費が多くなってしまう可能性があるため、そうしたデメリットをよく調べ、対処法を知ったり、納得してから購入することをオススメします。たとえば猛暑日や高速道路を長距離走行した場合などは、バッテリーが高温になって、充電の効率が悪くなったり、電費が落ちたりします。早く出発したいのに、なかなかバッテリーに電気が入っていかないのはイライラするし、目的地に到着するまでに何度も充電しなければならないのも面倒ですね。

 また、冬が長い地域で困るのは、EVはヒーターを使うとみるみるバッテリーを消耗してしまうことです。ガソリン車は熱が余っていたのでヒーターを使ってもほとんど燃費に影響しないのですが、EVはもともと熱が余らないので、新たに電力を消費して熱を作り出さなければならないからです。このため、電費を気にするEVユーザーは冬にはヒーターをあまり使わなくていいように、まず自分が厚着をし、カイロを貼ったり同乗者にはブランケットなどを準備するといった、ちょっとアナログな方法で寒さをしのぐ人も多いです。でも雪国で毎日乗るたびにそんなことをするのは、かなりストレスではないでしょうか。もちろん、ノルウェーなど寒さの厳しい欧州でもEVのシェアは伸び続けているので、ヒーターを使う分、頻繁に充電をすればいいだけの話ですが、自分がその手間をどう思うのか、事前に考えてみるといいですね。

 5つ目は、EVは移動手段としてだけでなく、蓄電池として活用することもできるモビリティです。一般的なのは、自宅に設置した太陽光発電などの再生エネルギー発電とつなげて、余った電気をEVに貯めておき、必要な時に取り出して使うことができるV2H。災害などで自宅が停電した際の備えにもなりますね。将来的には、もっとさまざまなものとつながって、EVそのものがインフラになりうるとも言われています。EVをこれまでのマイカーと同様に移動手段として使うだけでもいいのですが、こうしたEVならではの特性を使いこなせれば、もっと世界が広がります。自分にはどんな使い方ができるか想像してみて、いろいろと可能性が見えてきた人はもう、EVを楽しめる人といっていいと思います。

 ということで、EVが欲しいけど、本当に自分に合っているのか不安な人が、チェックすべきことをご紹介しました。もし、5つの項目でEVにするのはまだ早そうかなと思った人でも、少しEVの要素を体験できるPHEVという選択肢もあるので、合わせて検討してみてくださいね。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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