フラットな「ドアハンドル」がクルマの未来を作る!? いまや自動車はわずかな空気抵抗まで追求するステージに入っていた (2/2ページ)

いまや些細な突起物も見逃せない時代

 そもそも空気抵抗は、速度の2乗で増加していく。走行速度が2倍になれば、空気抵抗は4倍になる。時速40kmに比べ、80km/hになれば空気抵抗は4倍になる。

 日本でも、一部高速道路で最高速度が時速120kmとなっているので、その時の空気抵抗の影響は、時速60kmで走っているときの4倍にもなってしまうのだ。そうなると、ドアハンドルの出っ張りも影響してきそうだ。

 同様のことは、CCDカメラを使うドアミラーの代替技術にもいえるだろう。鏡を使った大柄なドアミラーに比べ、CCDカメラは明らかに小さい。後方視界のための出っ張り(ドアミラー)が起こす空気の乱流が減るだけでなく、カメラを覆うカバーの形状を工夫すれば、鏡という広い面積を必要とする部品に比べ、空気抵抗を減らす形にもしやすいだろう。

 些細なことも見逃さず空気抵抗を減らす理由は、エンジン車なら燃費、EVなら一充電走行距離を改善するうえで、動力の制御だけでは足りない時代になったからだ。いまや、自然災害による被害の甚大化は世界の誰にとっても身近な出来事になり、森林火災や干ばつによる水不足、あるいは集中豪雨による川の氾濫も現実のものとなっている。このままでは、クルマが走ることさえ許されない事態にもなりかねない。一方で、移動や物流は、暮らしに欠かせない要件だ。

 クルマにまつわる損失の低減は、考えられる方策を総動員する時代となったのである。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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