コンパクトハイトワゴンのカスタムモデル! スズキ・ソリオ バンディットの歴史と魅力に迫る (2/2ページ)

ルーツは初代ワゴンRワイド!

ソリオバンディットの歩み

 バンディットやソリオのルーツを遡ると、軽自動車界のハイトワゴンブームを巻き起こした初代ワゴンRをベースにボディシェルを拡大し普通乗用車に仕立てた“ワゴンRワイド”がそれにあたります。

 1997年にデビューしたワゴンRワイドは、ワゴンRと比べホイールベースこそ同じ2335mmでしたが全長を105mm、全幅を180mm拡大。パワーユニットはK10A型1リッター直4エンジンを搭載していました。

 NA仕様とともに最高出力100馬力(ネット)を発揮するインタークーラー付きターボエンジン搭載車も用意されています。

 新型車として開発されたワゴンRワイドですが、ワゴンRと部品の共通化を図り。投資や開発工数を極力抑えたこと、またボディを拡幅したことで海外市場での販売がしやすくなったことなどスズキに新たな自動車開発技術をもたらした1台となりました。

 国内外で好評を博したワゴンRワイドは1999年に次世代モデルとなる“ワゴンR+(プラス)”にバトンを渡します。

 ワゴンR+はワゴンRをベースとするところは同じですが、当初からグローバルモデルを目指し開発。エンジンはK10A型を引き続き搭載しますがDOHC16バルブ化しVVT機構が採用されました。

 ボディサイズは全長3510mm、全幅1620mm、全高1660〜1670mm。ワゴンRワイドと比べ全長、全幅とも拡大されましたが見た目はショート&ワイドな印象を与えるフォルムです。

 このモデルではとくにユーティリティ性能に力が入れられ後席の収納方法を工夫し、広くフラットなラゲッジ空間を実現するなど使い勝手の良さを追求していました。

 ワゴンR+は2000年に行われたマイナーチェンジで車名を変更。“ワゴンRソリオ”となりました。

 車名の変更とともにM13A型1.3リッター直4エンジン搭載車を設定。VVT機構を備えたこのエンジンは1リッターエンジンと比べゆとりがある走行性能を実現。回転域を問わず扱いやすいエンジンとの評価を得ています。

  

 また1.3リッターエンジン搭載車はフロントマスクも大型とし4灯式ヘッドランプを備えるなどおとなしい見た目から一新。エアロパーツを備え車高を下げスポーティーな仕様に仕立てられました。

 その後、2005年に行われたマイナーチェンジで車名を“ソリオ”に再度変更。1.3リッターエンジン搭載車に新たなフロントマスクを装備する新グレードを設定しています。

 現行型の直系となるのが2011年に登場したソリオ。ワゴンRの拡大版だった先代モデルとは違い、スイフトのコンポーネンツを使用。全長3710mm、全幅1620mm、全高1765mmのハイトワゴンに仕立てました。

 また従来、ワゴンRと同様にヒンジ式だったリヤドアを両側スライドドアへ変更。2130mmの室内長や1345mmの室内高を誇るなど抜群のユーティリティ性能を誇ります。

 そしてこのモデルに本テーマの肝となる“ソリオバンディット”が2012年に設定されました。

 LEDポジションランプを内蔵したヘッドランプやピアノブラック塗装を施し存在感を増したフロントグリルなど、ソリオとは異なる専用のデザインを採用。インテリアもストライプ柄のシート表皮やブラック基調のインパネなど専用パーツを配しています。

 搭載されるパワーユニットはK12B型1.2リッター直4エンジン。コンポーネンツを譲り受けたスイフトと同じエンジンではありますが、吸気経路の変更やヘッドカバーなどを樹脂化し軽量化を図るなど燃費性能を高める工夫が施されました。

 このソリオはMクラスミニバンまで必要ないと考えるファミリー層などに受け高い人気を博しました。スズキも「軽自動車」「コンパクトカー(スイフト)」とともに販売における“第三の矢”として重要視。現行モデルの開発に大きな力を注ぐきっかけとなるモデルでした。

ソリオバンディットのライバル車比較

 バンディット最大のライバルはトヨタ・ルーミー&ダイハツ・トールの兄弟車です。

 クルマのコンセプトやボディサイズがバンディットと近い両車ですが、室内空間はバンディッドが勝り、パワーユニットにマイルドハイブリッドを備えているところも有利な点といえるでしょう。

 一方、ルーミー&トールの利点といえば高速道路でのロングドライブ時などにゆとりある走行を可能とするターボエンジンをラインナップしていること。最高出力98馬力を発揮する1リッター直3エンジンはWLTCモード燃費16.8km/L(NAは18.4km/L)とバンディッドのマイルドハイブリッドほどではないですが、高い燃費性能を備えました。

 バンディットとルーミー&トールの大きな違いがラゲッジルーム。5名乗車時でも十分な積載量を誇るバンディッドのラゲッジルームに比べ、ルーミー&トールは奥行きが狭いためある程度の荷物を乗せるためにはリヤシートを前方にスライドする必要があります。ただ、そのスライド量がルーミー&トールがバンディットより長く取られています。

 ユーティリティ性能を重視するなら、バンディットがルーミー&トールを選択するより高い満足度を得ることになるでしょう。

ソリオバンディットのグレード

 バンディットのグレードは「ハイブリッド MV」の1種類が用意されています。

 車両価格はFFが200万6400円、4WDが213万1800円。ともにパワーユニットはマイルドハイブリッドが搭載されます。

 一方、ソリオにはガソリン搭載車の「G」(FF:158万1800円、4WD:170万7200円)。

 マイルドハイブリッド搭載車には「ハイブリッド MX」(FF:185万200円、4WD:197万5600円)と最上級グレード「ハイブリッド MZ」(FF:202万2900円、4WD:214万8300円)がラインナップ。

 バンディットに比べ、ユーザーの使用状況に合わせ選択が可能となっています。

まとめ

 ファミリー層を中心に高い人気を集めるコンパクトクラスのトールワゴン。その元祖とも言えるソリオに設定されたバンディットは、精悍な見た目と高いユーティリティ性能を誇るモデルです。

 広い室内空間を有するクルマが欲しいけど3列シートのミニバンはいらないユーザーは我々が想像するより多く、そういう方にとって大きな魅力を備えるクルマでした。

 今後、ライバルが増えていく可能性も十分ありますが、このクラスのパイオニアであるソリオとバンディットはこれからも高い人気を保持していくのではないでしょうか。


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