経験不足に知識不足! コロナ禍がもたらした「新人セールスマン」の悲劇 (2/2ページ)

今後のためにも迅速な対応が求められる

 接客がたどたどしいのは、いまの社会背景を考えれば経験が絶対的に少ないこともあり、ある程度仕方ないともいえるが、それを差し引いても対応が甘く見える新人セールスマンも目立つ。商品知識が足りない新人セールスマンが多いのである。カタログのどこにどんなことが記されているかまで満足に案内することができないセールスマンもいる。「接客スキルが磨けないならせめて商品知識だけでも」と切り替えられない新人セールスマンが多いようだ。商品知識を自分なりに完璧なものにしていれば、お客も信頼感を寄せ、値引き額をそれほど拡大することなく契約に持ち込むことができ、高い利益率で新車を売ることができる。

 しかし足かせ3年にわたるコロナ禍のなか入社してきた新人セールスマンは、新人として現場で十分学ぶことができなかった。そして今後はその世代が、販売台数の積み増しに大切な中堅世代となっていく。こうなってくると、単に人員的なマンパワーの問題だけではなくなってくる。オンライン商談(AIを活用するなどさらに先進的なもの)や、ウェブからの新車購入申し込みなどの積極的な活用が急務となるだろう。またそのようなシステムに馴染みにくい客層には、定年退職を迎えたセールスマンの定年延長や嘱託契約で残ってもらうといったほかに、退職セールスマンと“ブローカー契約”し、引き続き顧客管理を任せながら完全歩合制でセールスマンの仕事を続けてもらうなどしないと、現状維持すら難しい状況となっていくだろう。

 セールスマンの仕事を覚えるのは“座学1割、現場9割”と言われている。そもそも最近の若い世代は、先輩からの指導を嫌い、能動的な活動が苦手な傾向が強かったが、今回コロナ禍で決定的な経験不足に陥っている。これを補うには個人の努力が必要だが、それをフォローする余裕は販売現場にはない。新しい売り方を模索している時間的猶予はそれほどないように見える。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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