スペーシア・ベース登場で「軽商用車」がいま激熱だった! 「ダサさゼロ」の最新モデル3台を徹底比較 (2/2ページ)

スペーシア・ベースの潜在能力が高過ぎる

 つまり、荷物を積み込む点だけに特化すれば、ポイントはまず荷室フロア地上高で、525mmのN-VANがもっとも重い荷物をラクラク出し入れできる高さで、次にスペーシア・ベースの540mm(これでも十分に低い)、そしてハイゼット・カーゴの630mmの順になる。

 荷室の広さ、とくに後席格納時の容量、広さは、もうどれも広大、大容量で、宅配の仕事でもするのでなければ、一般ユーザーの小さな引っ越し、アウトドア、キャンプ、車中泊の用途などで、どれも十二分な広さと言える。ただし、2名乗車での長尺物の積載性ではさすがに荷室フロア長1915mmを誇るハイゼット・カーゴが有利。また、ソロでの車中泊なら、荷室後端から助手席部分まで完全にフラット化でき、2635mmのベッド長をかせげるN-VANが面白い。

 が、アウトドアなどの遊びに使うのであれば、スペーシア・ベースが際立つ。上下3段にセットできるマルチボード、アレンジ時の隙間を埋めるフルフラットカバー、リヤクォーターウインドウ部分を埋めて物入としたアイディアなど、楽しくも便利なアレンジが沢山あるからだ。しかも、見た目はほぼスペーシアカスタム(MC前の顔)であり、グリル、ドアミラー、ガーニッシュ、スチールホイールなどをブラックパール塗装するなど、商用車にあるまじき(!?)カスタムグレード真っ青なスタイリッシュさがある。

 さらに乗り心地、走行感覚にしても、乗用車のスペーシアNAモデルと大きく変わらず、なによりもスペーシア同等の前席左右のシートのかけ心地の良さが、一般ユーザーにとっては大きなメリットとなる。ターボは3車中、唯一ないものの、NAエンジンでもワゴンRスマイルより静かなぐらい(!?)で、ナンバーの「4」を見なければ、前席に乗って、走って、商用車感覚ゼロなのが、スペーシア・ベースと言っていい(もちろん、一般道、高速道路で試乗済み)。ACCも渋滞追従機能付きだし、運転席側パワースライドドアの装備(スライドドアをよく開け閉めするのは、調査から運転席側だった!)から、スペーシアのスリムサーキュレーターに代わる天井のオーバーヘッドシェルフを含めた収納類の豊富さ、便利さも見事だ。

 とにかくできるだけ多くの荷物を積みこみたい、ターボエンジンのゆとりが欲しい……というなら、ハイゼット・カーゴやN-VANが有利かも知れないが、アウトドアや車中泊程度の荷物の積載(200kg以下でお願いします)と、標準装備の状態で車内をワークスペースにも変身させられるテレワーク、車中泊対応の100V/1500W電源を車内に引ける超ユーティリティ(標準装備のマルチボードとオプションの外部電源ユニットによる)、前席2名乗車時の快適性を優先するなら、もっとも軽乗用車感覚、スーパーハイト系軽自動車感覚で乗れ、自在な使い勝手が可能なスペーシア・ベースは、これまでの軽商用車にないキャラクターの持ち主であり、なかなかの選択と言っていい。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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