【試乗】輸入車の燃費TOP3を独占するルノーのハイブリッド! 第三の「E-TECH」搭載車「キャプチャー」のマルチ性能っぷりが圧巻 (1/2ページ)

輸入車の燃費トップ3を独占するルノーE-TECHハイブリッド

 フランスのルノーが開発した「E-TECH HYBRID」は、輸入車唯一のフルハイブリッドシステムである。E-TECH HYBRIDは、今年2月に新しいSUVのアルカナで初上陸を果たすと、6月にコンパクトカーのルーテシアに、さらに8月にはコンパクトSUVのキャプチャーにも搭載されて上陸した。つまり、ルノージャポンは、わずか半年という早業で、フルハイブリッドの一大ラインアップをゼロから構築してしまったわけだ。

 知っている人も多いように、ハイブリッド技術はもともと日本が先行していた。その後ヨーロッパでは急速なEV化政策が推し進められて、ヨーロッパメーカーは否応なく、ハイブリッドを通り越してプラグインハイブリッドやEVの開発に注力することとなった。

 ヨーロッパのド真んなかメーカーともいえるルノーが、そんななかでフルハイブリッドを開発した背景には、あるエンジニアのひらめきとF1のパワートレイン技術があったという。考えてみれば、現代のF1も電気のみのEV走行こそしないが、高度なハイブリッドである。

 そんなE-TECH HYBRIDを搭載したルノーは、当然のごとく燃費自慢である。もっとも小型軽量なルーテシアのカタログ燃費は25.2km/L(WLTCモード、以下同じ)。今回のキャプチャーのそれは22.8km/Lでアルカナと同じ。というわけで、2022年9月現在、ルーテシアE-TECH HYBRIDの燃費は輸入車ナンバー1である。続く2位にはキャプチャーE-TECH HYBRIDとアルカナが同率でならぶ。つまり、ルノーE-TECH HYBRIDは輸入車の燃費トップ3を独占しているのだ。

 E-TECH HYBRIDがいかに低燃費でも、そのぶん走りがヤワなら価値はない。いままでフルハイブリッドが高速道路社会のヨーロッパでいまひとつ受け入れられなかった理由も、絶対的なパワー不足や、アクセルにリニアに反応しない加速特性(現地では“ラバーバンドフィール”などと呼ばれる)などが好かれなかったからでもある。

 その点、E-TECH HYBRIDは、ヨーロッパメーカーのルノーが真正面から開発しただけに、小気味よさとリニアリティにあふれた調律が見事だ。レスポンスは加速側だけでなくアクセルオフしたときの減速側もリニア。そうやってパワートレインが活発に反応してくれれば、ハンドリングも自然と生き生きとする。

 E-TECH HYBRID はドグクラッチトランスミッション(ドグミッション)というレーシングカー由来の変速機を使っているのも独特だ。シンプルなドグミッションはロスが少なく高効率で、変速や断続のキレ味が鋭いのが特徴だが、そのぶん変速時のショックも大きいので、市販乗用車には普通使われない。

 しかし、E-TECH HYBRIDではエンジンとモーターを組み合わせるハイブリッドならでの利点を生かして、変速や動力の断続時にはモーターがピタリと回転合わせをすることでショックを回避しているのだ。


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