クロスオーバーって「SUV感のあるクルマ」のことじゃないの? 新型クラウン発表で噴出した疑問に回答! (2/2ページ)

今後もクルマの新しいスタイルのクルマが生まれるだろう

 実際、クラウン クロスオーバーのコンセプトはリフトアップセダンというものである。確かに、ボディ形状は4ドアクーペ的にも見える。SUVの要素も含まれているが、複数のカテゴリーの特徴が、複雑に絡みあっている。乗用車のアーキテクチャーを使ったSUVという従来のクロスオーバーという言葉が持つイメージを、完全に新しくしようというチャレンジングな一台といえる。

 一方で、クラウン エステートは、トヨタでいえば北米市場向けモデルの「ハイランダー」にも似たシルエットの、クロスオーバーSUVとなっているように見える。

 おそらくトヨタはクラウンに2種類のクロスオーバーSUVを用意するつもりはさらさらないだろう。クラウン クロスオーバーは新ジャンルの創出であり、クラウン エステートはクロスオーバーSUVのユーティリティ能力を高めたイメージのモデルと捉えるべきだ。

 これはトヨタに限った話ではない。

 間もなく電気自動車が主流の時代になると言われることも多いが、電気自動車というのは床下に巨大なバッテリーパックを搭載するレイアウトになりがちだ。床下スペースに余裕を持たせようと思うと、ボディスタイルにかかわらずリフトアップ気味なシルエットにした方が有利なのは言うまでもないだろう。

 リフトアップしたスポーツカー、のような従来の常識では考えられなかったようなパッケージングの電気自動車も登場してくるだろう。そうした次世代の電動車両を理解する上でも、クロスオーバーという言葉の本来の意味を再確認しておくことは大切だ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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