ド派手なエアロで誰が呼んだか「バットモービル」! 軽量化命で誕生した「BMW 3.0CSL」というたった1000台の名車 (2/2ページ)

言わずと知れた「クーペ・スポーツ・ライトウェイト」

 BMWはこれまで2002シリーズによって、ツーリングカー選手権で好成績を残してきたが、その経験から考えて、まず必要になるのはベースとなる3.0CSの軽量化とエアロダイナミクスの向上にあることは十分に理解していた。だからこそ車両の各部を軽量化し、装備を大幅に低減した証としてL(Leicht=軽量)の文字を最後に掲げたCSLをあえて車名とし、実際に車重を3.0CSの1400kgから200kgも低減させることに成功したのだ。

 ボディ素材も、左右のドアはアルミニウム製に、またボンネットや特別にデザインされたフロントのスポイラー、リヤスポイラー、リヤバンパーなどには、軽量なFRP素材が用いられている。

 そして同じ3.0CSLでもいくつかのバリエーションがある。1971年に登場したファーストモデルは、2985ccの直列6気筒エンジンに4速MTを組み合わせたもの。

 1972年にはエンジンの排気量が3003ccに拡大され、ここでボディにも大型のフロントスポイラーやリヤスポイラーが装着される。純粋にホモロゲーション取得用に開発されたこのセカンドモデルの強さは圧倒的で、同年のスパ24時間を制覇するなど多くの活躍を見せている。

 そしてラストモデルには3153cc仕様の直列6気筒エンジンを搭載。ここに至ってようやく205馬力という最高出力を得ることに成功している。

 総生産台数でもわずか1039台というバットモービル、BMW 3.0CSL。CSLの名前は現代に入り次々に復活を遂げているが、客観的な速さではかなわないものの、サーキットで生まれながらにして、ストリートではときとして快適さやスムースささえ感じさせる3.0CSLの魅力は大きい。サーキットでもオンロードでも、このクルマの持つ魅力は誰もが簡単に理解できるはずだ。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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