CMまんまの小型犬のような可愛さはどこから生まれる? 新型シエンタのデザインを分析してみた (2/2ページ)

一筆描きの柔らかなボディライン

 サイドでは、低いベルトラインによる広いガラスエリアが特徴です。これは、もちろんドライバーを中心とした乗員の視界確保が主目的ですが、同時に非常に明るいイメージをボディ全体に醸し出しています。この明るさもまた愛着を感じるポイントになっているのです。

 そして、ドア下部と前後のホイールアーチに置かれたプロテクターが新型の大きな見所です。これはキズ対応などの機能性や道具感を強く打ち出すアイテムですが、同時にブラックのパーツで土台を作り、その上に軽快なキャビンを載せるというデザイン的な意図もあります。この下半身も、まるで子犬が座っているような安定感を感じさせる秘訣になっているのです。

 そして、円弧型に持ち上がったリヤピラーもまた特徴的です。ここも先代に近い表現ですが、じつはキースケッチを描いたのは同じデザイナー。先代と同じく、ルーフラインからS字を描くような「一筆描き」になっているのです。先代はこのラインがアクティブさを表現していましたが、新型はそこに「楽しさ」が加わっているのです。

 さらに、先代の横型から縦型に変わったリヤランプも見所。かつての「ファンカーゴ」をイメージしたというランプは、リヤガラス、ガーニッシュと一体化され、合理性とともに柔らかさや和やかな雰囲気も生んでいます。

 こうして見ると、新しいシエンタは単純に「シカクマル」だけでカワイいのではなく、先代の「クルマらしさ」を巧妙に取り入れつつ愛着を感じさせるスタイリングに気付きます。また、この愛着には子犬のようなカワイさだけでなく、欧州車的な道具感も含まれているのが新型のユニークさと言えるでしょう。


すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

サラリーマン自動車ライター

愛車
いすゞFFジェミニ4ドア・イルムシャー(1986年式)
趣味
オヤジバンド(ドラムやってます)/音楽鑑賞(ジャズ・フュージョンなど) /カフェ巡り/ドライブ
好きな有名人
筒井康隆 /三谷幸喜/永六輔/渡辺貞夫/矢野顕子/上原ひろみ

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