クラウンは21インチ! どこまでタイヤは大きくなる!? 大径化のメリットとデメリットを明らかにする (2/2ページ)

大きなブレーキも収められる

 ここまでの話をまとめると、タイヤは大きいほうが本能的にカッコよく見えるというのが定説です。そして外径の大きなタイヤは乗り心地と燃費性能を両立するのに都合がいいともいえるのです。

 メリットはそれだけではありません。ホイールが大径になると、その中に収めるブレーキシステムのサイズも大きくすることができます。

 ブレーキディスクのサイズアップは、すなわち熱容量を増やすことですから、運動エネルギーを熱に変換して制動力とするブレーキの性能アップに直結します。

 大きなキャリパーはブレーキパッドの面積増加やマルチピストンによる作動圧力の均一化に貢献します。こちらもブレーキ性能アップにつながります。

 いずれにしてもホイールよりも大きなブレーキシステムを採用するのは物理的に難しいことですからタイヤ内径を大きくするということは制動力に関するポテンシャルを上げることが可能となります。これも大径タイヤを採用する代表的なメリットです。

 一方、大径タイヤのデメリットは維持費が上がってしまうことでしょう。

 あくまで傾向の話ですが、タイヤというのは大きくなるほど高価になります。基本的にゴム製品であるタイヤは消耗品ですから、大径タイヤはランニングコスト上昇につながってしまうのです。とくにスタッドレスタイヤが必須の地域に住んでいるドライバーにとっては、無視できない部分といえます。

 大径になるほど高価になるというのはホイールも同様です。スタッドレスタイヤ用ホイールを購入する場合、ぶつけてしまってホイールを買い直す場合などのコストも大径になるほど上昇します。

 ディメンション的なデメリットは、タイヤの外径が大きいほど切れ角を確保するために大きなタイヤハウスが必要になるということです。大きなものを左右に動かすのですから当然です。

 同じボディサイズで比べると、大径タイヤを採用したシャシーは切れ角が少なく、最小回転半径が大きくなりがちということです。つまり、大径タイヤにあわせてボディをデザインするとタイヤハウスを大きくするためにボディ幅を広げる必要が出てきます。

 最近のニューモデルが軒並みボディを広げているひとつの理由に、タイヤ大径化トレンドも影響しているといえそうです。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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