カローラはサニーやシビックとだけ争っていたワケじゃない! トヨタの仁義なき「同門バトル」は30年以上前から続いていた (2/2ページ)

ラインアップのヒエラルキーが販売に大きく影響

 トヨタ・カリーナ、同コロナはカローラの格上になるモデルで、“ミドルセダン”クラスに属していた。1.8リッターエンジン搭載車が車種構成の中心であったが、1.5リッターエンジン搭載車もラインアップしていた。もちろん格下のカローラとは装備内容などで差別化されていたのだが(わずかな差だがその差は商談では大きく響く)、自動車税がカローラと同じ1.5リッター(カローラは1.3リッターや1.6リッターもあったがメインは1.5リッター)、しかも当時は買い得で装備充実の特別仕様車もバンバン設定されていた。カローラも特別仕様車をラインアップしていたのだが、カリーナを扱うトヨタ店や、コロナを扱うトヨペット店の猛烈な値引き販売も加わり、カリーナやコロナの1.5リッター車に商談でカローラが競り負けることもしばしばあったと筆者も聞いている。当時はカローラ→カリーナ、コロナ→マークⅡ→クラウンというヒエラルキー(上下関係)が明確にあった時代なので、よりカリーナやコロナの1.5リッター車が注目されていたのである。

 2020年5月より専売車をやめ、どのトヨタ系ディーラーでもすべてのトヨタ車が買えるようになり、いまではトヨタ車同士で値引きなどを競い合わせて買う人も多くなっているが、それは何もここ最近始まったことではなく、昔からトヨタ車は身内同士の争いがシビアに行われていたのである。

 その後、カリーナはアリオン、コロナはプレミオという後継モデルへ引き継がれたが、それでも1.5リッター車のラインアップを続けた。ただすでにセダンが勢いを失っていたので、カローラとの熾烈なバトルは起きなくなったが、プレミオ&アリオンの1.5リッター車は“隠れたリセールバリューの高いクルマ”として、知る人ぞ知るクルマとなった。パキスタンやバングラデシュ、スリランカなどで、比較的裕福な人たちの間で日本から中古車として輸入されるプレミオ&アリオンが大人気となったのだ。しかも、1.5リッター車指名なだけでなく細かいグレードやオプション指定などもあったりしたようで、それに合致した仕様の下取り査定額は驚くほど高かったと聞いている。そのため、一時はプレミオを扱うトヨペット店のセールスマンなどでは1.5リッターのプレミオに乗る人が目立っていたとの話も聞いている。

 そのプレミオ&アリオンもすでに絶版となっている。そうなると、今後はカローラセダンが隠れた高リセールバリュー車となっていくのだろうか。それもあって、カローラセダンは(ツーリングも)一部改良でガソリン車を1.8リッターから1.5リッターに載せ替えたのかもしれない。気になる人でカローラセダンの購入を検討する時は、寒冷地仕様を選びリヤワイパーを装着することを忘れずに。リヤワイパーは輸出先においてマストアイテムとなっているようだ。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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2019年式トヨタ・カローラ セダン S
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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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