先代ステップワゴンはぶっちゃけ大苦戦だったけど新型は? 新型ノア&ヴォクシーと比べてみた (2/2ページ)

従来型のオーナーの数も影響

 ミニバンの機能を比べると、ステップワゴンがノア&ヴォクシーに見劣りすることはない。とくにミニバンにとって大切な2/3列目シートの座り心地、乗り心地、静粛性などは、ステップワゴンが優れている。

 その一方でノア&ヴォクシーは、先進装備を充実させた。たとえば電動スライドドアが開き掛けているときに、車両の接近を検知すると、作動を止めて降車時の事故を防ぐ機能を用意した。高速道路の渋滞時にステアリングホイールから手を離しても運転支援が行われたり、スマートフォンを使って車外から車庫入れを操作できる機能もある。これらの先進装備は注目を集めやすい。

 また現行ステップワゴンは、リラックスできる雰囲気を重視して、フロントマスクを控え目なデザインに仕上げた。これは大切な個性だが、市場規模としては、存在感の強いフロントマスクを好むユーザーが多い。ステップワゴンの意図は理解できるが、数多く売りやすいのはノア&ヴォクシーだ。

 従来型から新型車への乗り替え需要も異なる。仮に5年前に購入したユーザーが、2022年に現行型へ乗り替えるとすれば、2017年の登録台数が影響を与える。2017年の1カ月平均登録台数は、ノアが4673台、ヴォクシーは7396台、エスクァイア(現在は廃止)は3656台、ステップワゴンは3871台だ。ノア+ヴォクシー+エスクァイアのトヨタ3姉妹車が圧倒的に多く、この乗り替え需要も、今のノア&ヴォクシーの登録台数を押し上げている。

 ホンダのブランドイメージも大きな影響を与えた。2022年度上半期に国内で販売されたホンダ車の内、N-BOXが34%を占めている。軽自動車全体では、国内で売られたホンダ車の半数以上に達する。

 こうなるとホンダのブランドイメージもコンパクト化して、スズキやダイハツに近付く。その影響で、2022年度上半期には、コンパクトミニバンのフリードが発売から約6年を経過しながら1カ月平均で6246台を登録した。新型になったステップワゴンの3118台を大幅に上まわる。「ホンダ車を買うなら、ステップワゴンよりもフリードでしょ」という認識が確立されつつあるからだ。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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