最近のクルマは安易に「全塗装」ができない! 先進化の弊害がココにもあった

この記事をまとめると

■古いクルマの塗装をリフレッシュするために行う「全塗装」

■しかし近年クルマにある機能が搭載されたため、安易に全塗装ができなくなっている

■場合によってはリモコンキーの操作もできなくなる

全塗装したくてもできない意外な理由とは?

 1台のクルマに長く乗っていくなかで、全塗装を行うことがある。旧車では当たり前だし、安い中古車を買ってヤレた塗装をリフレッシュするために行うことも。金額的には安くても20万円はかかるからハードルは高いものの、その分、パリッとした塗装が蘇るだけにやるだけの意味はある。

 全塗装にもピンからキリまであって、とくにどこまで塗るかというのは費用との兼ね合いもあって難しいところ。よくあるのはドアの内側は塗らないなどだが、それとても色自体は変えなければ問題にはならない。結局のところ、費用と手間と仕上がりのバランスと言ったところなので、その落とし所はオーナー側で決めればいい。しかし、昨今それとは別の問題が発生しているのだ。

 それが最新技術を搭載しているがゆえに全塗装できないというもの。その部位はどこかというと、まずは衝突安全系のセンサーだ。最近のクルマをよく見てみるとわかるが、バンパーに点々が付いていることに気がつくハズ。これは障害物などとの距離を測るセンサーで、この部分は塗れない。上に塗料が付いても反応に問題ないこともあるが、それも微妙なところで、ディーラーでは「作動は保証できなくなる」と言われることが多い。

 センサー自体に塗料が乗るのが問題なので、色替えうんぬんは関係なくて元色と同じに塗ったとしても問題は発生するかもしれないからやっかい。つまり補修も同じで、結局はセンサー部分だけでも新品にするしかなく、そうなると費用はかかる。また、純正色以外ではそこだけ目立ってしまうだけに、全塗装では色選びに制約が出てしまう。

 そして同じような問題が発生するのがドアノブに付いている、スマートキーでの解除センサー。トヨタのように静電気によって反応している場合、塗料が乗ってしまうと反応しなくなる可能性が出てくるので、先のセンサー同様の問題が発生する。

 ドアノブに関して細かいことを言うと、最近は指先で上に引き上げるタイプよりも、手間に引くタイプが主流になっていて、引いたときに中まで見えてしまう。全塗装で色替えをするときはチャンと塗らないとみっともないことになるが、細かい部分まで塗るのはかなりの面倒だ。

 ドアノブのなかは別としても、塗装がヤレてきたとき、気軽に全塗装や色替えをすることができなくなる可能性は高い。センサー類もパーツが出るなら、そこだけ新品にすればいいが、生産中止になったらどうするか。全塗装は嗜好的な要素もあるのでいいかもしれないが、補修で大きな面積を塗るとなると深刻な状況になりうる。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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