失速したクラウンを復活させる壮大な計画! 4車種投入と登場順序に隠れた巧妙な狙いとは (1/2ページ)

この記事をまとめると

■トヨタから新型クラウンが登場

■SUVを含む4つのタイプをラインアップ

■その理由は今後もクラウンを存続させるため

全店全車取り扱いは不人気車のリストラ

 従来のクラウンは、日本を中心に売られるセダンだったが、新型クラウンクロスオーバーは、海外でも販売できるSUVになった。大幅な路線変更を行った目的は「クラウンを廃止せずに存続させること」だ。

 クラウンの登録台数は、1990年は1カ月平均が1万7300台だったが、2021年は約1800台であった。約10%まで減っている。そうなるとコロナ(終了時はプレミオ)やマークII(マークX)と同じように、クラウンを廃止する方法もあった。

 そしてトヨタの国内販売は、2020年に、全店が全車を扱う体制へ移行している。これは残酷な「不人気車排除装置」だ。たとえばかつてのクラウンは、専売店舗のトヨタ店が大切に販売した。クラウンのユーザーが「アルファードに乗り替えようか」と言っても、好条件を提示してこれを阻止した。クラウンからアルファードへ乗り替えると、トヨタ店の顧客をトヨペット店に奪われるからだ。

 しかし全店が全車を扱う今は、トヨタ店でアルファードを普通に販売できる。もはやクラウンからアルファードへの乗り替えを防ぐ必要はない。このように全店が全車を扱うと、アルファードのような販売の好調な車種は売れ行きを一層伸ばし、不人気車はさらに落ち込んで、車種の廃止に追い込まれる。

 この全店が全車を売ることによる非情な掟を、トヨタは十分に承知していた。取り扱い車種から販売店まで、国内販売を総合的にリストラするために、全店が全車を扱う販売体制に踏み切った。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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