【試乗】本国アメリカでは販売せず! 7人乗りSUVのジープ・コマンダーのマルチっぷりがイイ (2/2ページ)

十分に使用に耐えるサードシートを持った手頃なサイズのジープ

 まずは気になるキャビンの実用性を確認する。注目すべきはやはりサードシートということになるわけだが、スペース的には身長が175cmの筆者でも、フロアの高さを膝の曲げ具合で感じる以外は、とりたてて窮屈な印象は抱かない。何時間にも及ぶ長距離の移動でなければ、それは十分に活用できるスペースといってよい。

 このサードシートとセカンドシートは、必要時にはそれを収納してラゲッジスペースを拡大することももちろん可能だ。

 レザーシートや10.1インチのタッチパネルモニターによるオーディオナビゲーションシステム、さらにはアクティブクルーズコントロールや衝突被害軽減ブレーキに代表される安全装備を満載した最新のコマンダーは、もはやオフロードを目指すタフなだけのSUVではない。

 それを物語っているのが、オンデマンド式4WDの動きであり、またほどよく引き締められた、フロントにマクファーソン式ストラット、リヤにマルチリンクを採用したサスペンションの動きだった。コマンダーの乗り心地は常にフラットな印象で、不快な路面からの突き上げ感をキャビンに伝えることも少ない。コーナリングでのロールも控えめだ。

 最高出力で170馬力、最大トルクでは350Nmを発揮するディーゼルターボエンジンは、9速ATとの組み合わせで数字以上に軽快な動きを見せる。ただし、ノイズやバイブレーションの処理にはまだまだ改善の余地があるのも事実。それもまたジープというブランドの持つタフネスさの表現なのだといえば、それも否定できるところではない。事実低速域でのトルクは、1750pmですでに最大トルクを発揮することからもわかるとおり、オフロードドライブをも強く意識したもの。

 サードシートを活用した状態で、あらゆるフィールドへとゲストを誘うことができる。コマンダーはやはりジープの伝統を受け継ぐ、そのファミリーにほかならない一台だった。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
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