【試乗】旋回加速度は驚異の1.5G! 地上の戦闘機「ポルシェ911GT3RS」をシルバーストーンで全開走行 (2/2ページ)

見た目もパフォーマンスもまさに戦闘機そのもの

 細かいスペックは下記の表を参照していただくとことにしてここには書かないが、空力性能をレーシングカー並に追求したことで、強烈な旋回性能を有しているらしい。たとえば、風洞実験の計測では時速200Km/hで409Kg、285Kg/hで860Kgのダウンフォースを可能としている。この値はノーマルのGT3のなんと3倍に匹敵するではないか。しかも、F1でおなじみのDRSを巨大なリヤウイングに装備し、フラップを開くと空気抵抗が減りトップスピードが増すが、むしろフルブレーキング時にリヤのダウンフォースを増すことで、安定した制動力が得られるという話に興味が湧く。

 空力の申し子のように、エクステリアは映画「トップガン」に出てくる戦闘機F-14トムキャットのように精悍だ。ボンネットから前後フェンダーには、いたるところに空気の流れを考慮したデザインが見える。ここまで戦闘モードのスタイルだと、街なかは恥ずかしくて走れない。

 コクピットは機能的だ。走行モードも可変ダンパーから可変ベクタリングまで、いろいろとセットアップ可能なスイッチがステアリングホイールに備わっている。短い時間のサーキット走行なので、走りながら変えるほど余裕はなかったので、エキスパートがセットした仕様で走ることにした。ちなみに驚いたのは四輪のダンパーの伸びと縮みがそれぞれ調整可能な幅のなかでセットできること。

 エンジンはGT3と同じだが、7速のPDKはGT3よりもローギヤードかつクロスレシオに変更され、トップスピード重視からコーナーの立ち上がりを優先している。最高速度はGT3が318km/hで、GT3RSが296km/h。0-100km/h加速はGT3RSが3.2秒で、 GT3(PDK)は3.4秒。GT3RSはGT3よりもトップスピードでは劣るが、加速力・旋回力・制動力で勝っている。

 さっそく、テストドライブが始まる。エキスパートがドライブするGT3に先導されシルバーストーンの洗礼をうける。マシンとサーキットが初めてだと緊張するが、先導車のラインをトレースしながらペースを上げる。まず驚いたことはブレーキが鬼のように利くこと。つい止まり過ぎてしまうこともあったが、首が痛くなるほどよく利く。データで見ると瞬間的には1.6Gの減速度だ。加速はノーマルのGT3と違いがあまりないが、コーナーリング中に積極的にスロットルを開けることができる。ダウンフォースが大きいので、リヤタイヤのグリップは予想以上に大きい。そのため、旋回Gが強烈だ。データでは軽く1.5Gで高速コーナーをクリアした。

 言い換えると、限界の80%くらいで走るかぎり、何も起きないほど挙動は安定している。むしろ自由自在にタイヤの限界を超えて、ドリフトで楽しむには向いていない。グリップ走行に徹し、オン・ザ・レールでの限界走行が似合っている。

 このGT3RSは3134万円の価格だが、日本ではすでに抽選状態になっている。もう、これ以上速いポルシェはターボのGT2を除いて存在しないだろう。


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