ブームでバカ売れのハズがなぜ? SUVが販売台数ランキングTOP10に1台しか入っていないワケ (2/2ページ)

ヤリスやカローラはシリーズ全体の台数となる

 まず小型/普通車販売ランキングで1位のヤリスだが、実際には、SUVのヤリスクロスとスポーツモデルのGRヤリスを含んだシリーズ全体の台数になることだ。しかもヤリスシリーズの登録台数の内、約50%をヤリスクロスが占める。そうなると2022年度上半期において、ヤリスクロスは、1カ月平均で約7000台を登録している。

 カローラも同様だ。日本自動車販売協会連合会が集計したカローラの台数には、セダン、ワゴンのツーリング、ハッチバックのスポーツ、SUVのクロス、さらに5ナンバー車になる継続生産型のアクシオ&フィールダーまで含まれる。そしてSUVのカローラクロスは、カローラシリーズ全体の約45%を占めるから、2022年度上半期における1カ月平均登録台数は約4300台だ。

 そうなるとSUVの実質的な販売1位は、1カ月平均が約7000台のヤリスクロスで、2位は約6000台のライズ、3位は約4300台のカローラクロス、4位に約3700台のヴェゼルという順番になる。全長を4500mm以下に抑えたコンパクトSUVが、販売ランキングの上位に入ってくる。

 今の小型/普通乗用車の国内販売状況では、1カ月平均の登録台数は約18万台で、その内の5万台少々がSUVだ。そのためにヤリスクロスの約7000台、カローラクロスの約6000台を表記するか否かで、SUVの印象が大きく変わる。

 SUV市場の販売が好調なのに、上位に入る車種が少ない2つ目の理由は、SUVが主に国内販売ランキングの中堅レベルを支えていることだ。ランドクルーザー(プラドを含む)は、2022年度上半期における1カ月平均登録台数は約3200台、ハリアーは約3000台、RAV4は約2500台、CX-5は約2300台という具合だ。目立って大量に売られるSUVは少ないが、中堅レベルの車種が増えたことで、カテゴリー全体の販売総数を押し上げている。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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