実用車選びに迷ったら「あえてのゴルフII」が最高! 「なんで今?」と思ったらあらゆる点で「ちょうどいい」クルマだった (2/2ページ)

コンパクトカーとしての実用性を磨き上げたゴルフII

 かのフェルディナンド・ポルシェ博士が「大人2人と子供3人の家族が、アウトバーンを100km/hで安全かつ快適に走行できるクルマ」として開発・設計したのが、“かぶとむし”の愛称で知られるフォルクスワーゲン・ビートル。そのビートルの後継車として、1974年に作り出されたのが「ゴルフ」だったのです。ビートルが空冷OHVフラット4エンジンをリヤに積んだRR(後輪駆動)だったのに対し、ゴルフは水冷直列4気筒エンジンをフロントに積み、前輪を駆動させるFF車でした。デビューの翌年にはヤナセが1.5リッターモデルの輸入販売を開始し、当時は国産車とは一線を画した性能、質感、スタイリングで、日本の中流家庭の人々からは羨望のまなざしが注がれていたものです。

 そして、初代ゴルフのデビューから9年後の1983年にフルモデルチェンジが行われ、ゴルフIIが誕生。初代ゴルフが3710×1610×1410mmというボディサイズだったのに対し、ゴルフIIは3985×1665×1415mmと若干サイズアップ。とは言えまだまだコンパクトなボディこそ、今回ゴルフIIをお薦めする理由のひとつなのです。

 現代の肥大化したCセグメントの車種と比べると、ゴルフIIのボディはとても小さいです……。にもかかわらず、バルクヘッド(エンジンルームと居住空間を仕切る壁)を最大限に前方に寄せたおかげで、室内は驚くほど広くて快適! ですから、家族や友人やその人達の荷物を余裕で乗せることができますし、そのまま住宅街の路地も躊躇せず入っていけますし、狭いパーキングスペースだって楽ラク駐車できます。

 1.8リッターのガソリンエンジン(GLi)はたった90馬力しかありませんが(のちに107馬力に!)、低速からトルクのある出力特性もあってスペック以上に力強く走ります。街なか(いや、なんなら高速も!)ではなんら不足ありませんし、イマドキのクルマのように運転操作&走行性に電子制御が介入しないこともあって、ゴルフIIのドライビングはリニアかつダイレクト! ストロークたっぷりのサスペンションとブ厚いクッションのシートと相まって、運転手はもちろんパッセンジャーも気持ちよくドライブできるのです。そう、これがゴルフIIを薦める理由、その2です。

 そして、ゴルフIIをお薦めする理由その3として、冒頭で述べた「ご近所の目」対策を挙げたいと思います。そもそもゴルフIIはジウジアーロの傑作デザインとあって、直線を基調としたスタイリングは40年経った今でも古さを感じさせません。だから、「古〜い中古車に乗ってるなあ」と蔑まれることもなく、むしろクルマのことをよく知らない若いコからは「シンプルで知的」とか「小さくて可愛い」とか好評価を受けるはずです。仮にクルマ好きのおじさんにゴルフIIと見抜かれたとしても、「おっ、わかってんじゃん。エンスーだね!」と羨望ぎみに受け取ってくれますから。

 かように、ゴルフIIは実用性においても、世間体を考慮しても、イマドキの実用車として最適ということを説明してきましたが。わかっていただけたでしょうか。このお薦め理由はゴルフIもゴルフIIIにも当てはまりますので、いずれかを選択してもいいでしょう。セカンドマーケットではゴルフIが〜150万円、ゴルフIIが150〜200万円、ゴルフIIIが200万円〜でそこそこ在庫があります。グッドコンディションのクルマをゲットすれば、満足のいくカーライフが送れることでしょう。

 おっと、最後に付け加えさせていただくと(蛇足ですが)、ゴルフIVからはガラリとコンセプトが変わってしまい……室内は低くて狭く、シートは薄くて硬く……まるでできの悪いスポーツカーになってしまったので、実用車としてお薦めすることはできません。ご注意くださいませ。


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