クルマ好き大ショック!! カローラシリーズとマツダ6がせっかくの「MT設定」を廃止したワケ (2/2ページ)

マイナーチェンジでMT車が廃止されてしまうケースも

 ただしすべてのMTが長く存続するわけではない。マツダ6には長らく6速MTが用意されていたが、2022年に実施されたマイナーチェンジで廃止された。カローラセダン/ツーリング/スポーツも、以前は6速MTを用意したが、2022年のマイナーチェンジで廃止された。

 ちなみにカローラセダン/ツーリング/スポーツのサスペンションは、以前はすべて4輪独立式だったが、2022年のマイナーチェンジで変更を受けた。カローラセダンとツーリングの2WDについては、ノーマルエンジン車のリヤサスペンションが、独立式から車軸式のトーションビームへ簡素化されている。

※写真はカローラクロスのリヤサスペンション

 こういった変更の背景にあるのは、6速MTの廃止を含めて、設計の合理化だ。マツダ6の登録台数は、発売から約10年を経過して、1カ月平均が約180台まで下がった。MT比率は以前から10%以下だから、1カ月の売れ行きは10台少々だ。これでは6速MTの設定がコストアップに繋がるため、マツダ6はこれを廃止した。

 カローラも、今ではシリーズ全体の約45%をSUVのカローラクロスが占める。この車種に6速MTは以前から設定されていない。なおかつ2WDのリヤサスペンションはハイブリッドを含めてトーションビームだ(4WDのリヤサスペンションはダブルウイッシュボーンの独立式)。

 そこでカローラクロスよりも先に販売されていたカローラセダンとツーリングも、ノーマルエンジンのリヤサスペンションをトーションビームに変更した。合理化を進めて、コストを下げるため、6速MTを廃止したりサスペンションを変えている。

 今になって振り返ると、せっかく6速MTを設定したのだから、もう少し宣伝に力を入れても良かったと思う。6速MTは駆動力を伝えるトランスミッションでありながら、嗜好品的な性格も併せ持つ。6速MTがあると、AT専用車とは異なる世界観を表現することも不可欠だ。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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