一般の乗用車が売れなくなる!? インドのタクシー車両がベース車とは「別の車名」が与えられるワケ (2/2ページ)

韓国では別車名は与えられていない

 日本ではMPVスタイルのトヨタJPNタクシーに法人タクシー車両は一本化されようとしている。JPNタクシーにはまるっきりそっくりなベース車両は存在しないので車名云々は関係ないが、ちなみに香港では“コンフォート・ハイブリッド・タクシー”として販売されている。

 お隣の韓国では、たとえばヒョンデなら“ソナタ・タクシー”、“グレンジャー・タクシー”、起亜でも“K8タクシー”として、別車名は与えられていない。ただ、先日韓国の首都であるソウルを訪れる時に空港からソウル市内までソナタ・タクシーに乗ると、たとえていえば、昭和の時代の大きな家にあったフカフカの革張りのソファのように深く座るとやや上を向くようなどっしりとした後席となっており、かつての日本でのトヨタ・クラウンセダンベースのタクシー専用車両の印象(クラウンのころは一般乗用向けも同じような後席だった)を思い出してしまった。一般乗用車ではいまでは違和感のあるシートとなるので、ヒョンデや起亜のタクシー車両はおそらくタクシー車両専用にあつらえたものと考えられる。

 日本ではかつてクラウンという、まさに日本を代表する高級車がタクシーで使われていた。日本ではタクシー料金は結構高く、ステイタスで乗る人も多かったので、クラウンと言う車名のままでよかったのだろう。いまでも地域によっては黒色のセダンタイプタクシー車両では屋根の行灯が脱着式となっており、ハイヤー代わりに使うことも可能となっている。そもそも、東京都内などで黒タク(黒いタクシー)が当たり前になったのは、ハイヤーも運行する会社が、ハイヤーとして使っていた車両をタクシー車両として再利用していたら、「ハイヤーに乗っているみたいだ」と利用者の間で人気になったことも大きく影響しているようである。

 韓国でも筆者の感覚では日本ほどではないものの、タクシー料金は高いという印象があるようなので、日本と同じ感覚でタクシーを見る人が多く、そのためいまでもセダンタイプの車両が圧倒的に多くなっているように見える(車体色は黒ではないが)。メルセデスベンツもヨーロッパではよくタクシーとして使われているが、タクシー車両専用設計になっていると聞く。

 新興国ではタクシーは中産階級以上の所得の高い層の日常生活の移動手段として定着している(バスや地下鉄は混雑が激しいし、治安面で問題があるため)。地域によって、車名も含めどんなタクシーが走っているかを見て、その地域のタクシーのあり方を考察するのも筆者の海外主張の楽しみとなっている。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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