フル&マイナーチェンジで復活もあれば失敗も! 空前絶後の「人気乱高下カー」7選 (2/2ページ)

過去の栄光には敵わない?

 ちょっと前のマイナーチェンジで大復活というか、商品力を格段にアップされた例としては、今はなきトヨタ・エスティマがある。3代目(最終)のデビュー10年目となる2016年のビッグマイナーチェンジでは、V6モデルが消滅したものの、スタイリッシュさを極めた2トーンボディを用意したほか、走りを大幅にグレードアップ。ハイブリッドモデルで箱根の山道でオデッセイと走り比べても遜色ないパフォーマンスを見せつけてくれたのである。その中古車、とくにレッドボディにブラックルーフの2トーンモデルは今でも新鮮な天才タマゴそのもので、見つけたら買いだと思う。

 一方、モデルチェンジ、マイナーチェンジでちょっと残念なことになったクルマとしては、かなり古い話にはなるものの、走り好きの若者や、デートカーとしての需要に大きく応えてくれた日産シルビアがある。1988年デビューのS13型はデザイン、走りともに素晴らしく、スポーティカーとしても人気沸騰。が、1993年にデビューしたS14型、6代目シルビアはそれまでの5ナンバーから3ナンバー(全幅1730mmだが)となり、基本デザインを変えずに大型化したため、バランスが悪く、当然、重量も増え、走りの軽快感まで失うことになり、人気は急降下……。

 同じく、ボディを肥大化させて(アメリカ市場を見据えてのこと)、人気を低迷させてしまった例としてスバル・レガシィがあった。ツーリングワゴンが絶大なる人気を誇った時代の1998年発売の3代目までは5ナンバーサイズを守り、水平対向エンジンによる低重心もあって、スポーツワゴンとして一世を風靡。が、2003年の4代目、そして5代目と進化する中で、車幅は1780mmに達し、ホイールベースも伸ばされたことから、居住性やラゲッジルームの広さは拡大したものの、スポーツワゴンとしての機敏性、スポーツ性能は、ファンにとっては「ちょっと違うだろ」ということになってしまったはずで、それまでの人気は保てなかったのである。

 もちろん、現在ではレガシィツーリングワゴンはレヴォーグとなってある意味、復活して人気を得ているが、今でもレガシィツーリングワゴンは3代目までが真打ち……と思っているファンは少なくないのではないだろうか。今なら全幅1780~1795mmのレヴォーグに納得できても、当時の感覚では、そうではなかったということだろう。

 そうそう、今では「これがカローラ!?」と思えるほどスタイリッシュになったトヨタ・カローラスポーツだが、2018年6月のデビュー後の8月には「i-MT」と呼ばれるコンピュータ制御の6速MTを追加。「さすがトヨタ!!」とMTファンに大歓迎されたはず!? だが、2022年10月の一部改良時に1.2リッター直噴ターボエンジン×MTの仕様が廃止されてしまった。

 失敗の商品改良とは言えないものの、残念無念である。セダンのアクシオとフィールダー、GRモデルにはMTがあるが、スタイリッシュでスポーティなルックスのカローラスポーツにこそ残してほしかった。クロスオーバーモデルのC-HRにはあるのに!!


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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