トヨタ・カムリはなぜ日本から消滅? 歴代モデルの「役目」と今後の行方 (2/2ページ)

国内市場でカムリに代わるモデルは?

 アメリカではフォード・トーラス、ホンダ・アコードとともに全米乗用車販売台数ランキングでトップを争うベストカーとなっている。たとえばカローラクラスをアメリカでレンタカーとして借りると、燃料タンク容量が小さく、砂漠などガソリンスタンドの少ない郊外を走っていると、燃費はいいのだがタンク容量が少ないことで、結果的に給油頻度が多く、その意味でガソリンスタンドの存在が気になりやや面倒に感じてしまう。ところがカムリ及び同クラスでは、程よい燃費性能に加えて大容量の燃料タンクを備えるので、長距離移動する際には使い勝手がよく、さらに壊れにくいということでアメリカでは人気が高いといえよう。また、ニューヨークやシカゴなどの一部都市部ではハイブリッド仕様がタクシーとして活躍しており、アメリカで定評のある実用性の高いモデルであることとともに、耐久性能もトヨタ車のなかでは太鼓判ものといっていいだろう。

 クラウンが現状クロスオーバーとなり、今後はクロスオーバーSUVスタイルのエステートやスポーツ、そして全長5メートル超えのセダンが登場するともいわれているが、従来のクラウンに代わるモデルがないので、てっきりカムリがその部分を補填するかと思っていたので、国内販売中止は意外な話として捉えている。

 黒塗りハイヤーのニーズを担うモデルがなくなってしまうことになるので、全面的にアルファードがその役割を引き継ぐことになるのだろうか。それとも国内向けにはかつてのクラウンコンフォートのような、日本市場専用のモデル(ひょっとしたら5ナンバー仕様?)の登場を期待してもいいのかもしれない。

 次期型がどうなるのかを考えれば、一足先に新型になったアコードを見てもわかるとおり、ボディサイズの拡大はマストで行われそうだ。新型アコードはすでに「日本で販売しにくいサイズ」ともいわれており、カムリも次期型を意識して国内販売終了を決断したのかもしれない。

 となると、トヨタのなかで正統派セダンはカローラセダンのみともいえる。しかし、国内仕様はグローバル仕様よりも全体に小さいナローボディとなっており、セダンとしての使い勝手はいまひとつ。となると、次期型カローラセダンを国内でもグローバルサイズにして、いままでのカムリの需要も担おうとしているのかもしれない。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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