街行く人は興味津々! 東京都内のショッピングセンターに20台以上のEV&BEVが集結した生活密着イベントの中身 (2/2ページ)

ステランティス系ブランドの未来が考える未来が見えた

 じつはイベント初日の会場には、それぞれのブランドを担当するステランティス・ジャパンのマーケティングマネージャーがいらしていた。せっかくなので担当ブランドの現状と近未来について、軽くコメントを頂戴することにした。

ジープ・ブランドマネージャー 新海宏樹さん

「レネゲード、グランドチェロキー、そしてこのラングラーと、日本でもPHEVモデルが3機種揃いました。より本格的にローエミッションヴィークルへ舵を切れるのが今年かな、と思っています。欧州ではすでにBEVモデルのアベンジャーがデビューしていて、かなり多くの受注もいただいています。そちらはおそらく来年、日本に入ってくることになるでしょう。

 ジープ・ブランドも電動化戦略を進めていくことは以前から表明しているのですが、だからといってジープの本質である、乗っていて楽しいとか、オフロードでのドライバビリティに優れてるとか、4WDの性能が高いとか、そういうところは絶対に削ぎ落としてはいけない部分。オフロードの性能を最大限生かしながらも電動化を進めていく、というのがジープの電動化に向けたコンセプトです」。

「このルビコン4xeは、ラングラーらしい悪路走破性をキープしていながら、モーターだけで自然のなかを42kmも走れるモデルです。自然に寄り添いながら、自然のなかをより深くまで入っていけるクルマ。EV走行のときにはかなり静かなので、鳥の鳴き声を聞きながら自然に分け入っていくこともできるんです。エンジンのラングラーでは味わえなかったそうした新しい魅力に触れていただくことができると思いますよ」

フィアット&アバルト・ブランドマネージャー 熊崎陽子さん

「フィアット500eの大きな魅力のひとつは、まず世界一かわいい電気自動車だっていうことだと思います。そういう声をたくさんいただいてますし、私自身、そう感じています。現状では男性のオーナーさんが多いんですが、このクルマを男性だけのものにしておくのはもったいないので、もっと女性にも乗っていただけるといいなと思っています。電気自動車のなかで、もっとも女性にフィットするクルマだと思うんですよ。

 500eのラインアップには電機自動車で唯一のオープンモデルもあって、風の気持ちよさはもちろんなんですけど、静かな車内で街の音を聞きながら走ることもできて、それがまた心地いいんですね。そういうところも知っていただきたくて、今回の展示にはオープンモデルを選びました。ちなみに500eの場合、ハッチバックとオープンモデルの比率はちょうど半々ぐらいで、オープンモデルの比率がかなり高いんです。それは私たちにとって驚きでもありましたし、魅力を考えると、同時に納得できることでもありますね」

「おかげさまで500eの販売は好調です。発売当初はお売りできるクルマがすぐになくなっちゃってご迷惑をおかけしましたが、いまではようやく在庫を確保できる状況になりました。ぜひショールームへ足を運んでいただきたいと思っています。

 もうひとつのトピックとして、このフィアット500eをベースにしたアバルト500eを、今年の秋に導入する予定です。それに合わせてイベントも企画しています。アバルトはエンジンじゃなきゃとおっしゃる方も少なくないと思うのですが、そういう認識を変えてくれるようなクルマに仕上がってると聞いています。そちらもどうかお楽しみに」

プジョー・プロダクトマネージャー 八木亮祐さん

「ステランティスはグループ全体が強力に電動化を進めていて、日本市場もそれに追従している状況です。プジョーは現状、PHEVとBEVの両方を展開していて、電動化をかなり積極的にやっているブランドです。本国の方では2030年に100%BEVのメーカーになるという発表もなされていますから、これから数年の間にプロダクトのほうも急速に変化が出てくると思います。

 日本市場にもPHEVとBEVを導入していて、現在、ラインアップのなかに電動化モデルがないのは1車種だけ。同じ車種の中にICEのみのモデルとPHEVモデルがある場合でも、PHEVの価格を比較的リーズナブルな設定としていることもあって、10%から20%はPHEVが占めています。

 208シリーズはICEモデルとBEVモデルですが、それでも同じような傾向ですね。イメージからするとBEVは数%しか売れないんじゃないかと思われるでしょうけど、導入当初から10%くらいはEVなんです。日本車の場合には1%とか2%であることが多いので、EVの比率が高いことはおわかりいただけるでしょう」

「e-208はパフォーマンスの面でもICEの208とくらべて高いですし、航続距離も300km程度は当たり前のように走ってくれますし、価格もBEVとしては安価で月々の支払いを計算すると手が届きやすいところにあることもあって、積極的にこちらを選ぶ方も多いです。ICEの208もかなり出来のいいクルマですけど、e-208はさらに、といってもいいくらい。ショールームで乗り較べられるところもありますので、ぜひ208とe-208の違いを体験してみていただきたいですね」

 熱心なクルマ好きはともかくとして、自動車の電動化なんていう小難しそうな言葉を聞いてしまうと、自分とは縁遠い世界の話、と距離を置きがちになってしまう人も少なくないんじゃないかと思う。けれど、こうした誰もが休日に当たり前のように訪れる場所で自然に目にしたり触れたりすることのできるイベントがあって、そこにこうした個性がはっきりしていて自分のライフスタイルを鮮やかに彩ってくれそうな心惹かれるクルマが並んでいたら、関心を持つ人も増えてくるんじゃないか? ステランティスのブースで行われていたキャンペーンで手にしたノベルティを手に楽しそうに笑ってるお子さんの表情を眺めながら、そんなことを感じた1日だった。


嶋田智之 SHIMADA TOMOYUKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
2001年式アルファロメオ166/1970年式フィアット500L
趣味
クルマで走ること、本を読むこと
好きな有名人
-

新着情報