歩道を激走! 高速でバック! 3車線に5台並び! まだまだカオスなアジアの驚きの運転マナーに感じる懐かしさ (2/2ページ)

クルマが歩道に乱入してくる場所も!?

 そんなことを思っていたら、2000年代初期に中国・上海を訪れた時、歩道を四輪自動車が我が物顔で渋滞を避けるために走ってきた。激しい渋滞になると信号はお構いなしで交差点内にクルマが進入し、最後には交差点内で身動きがとれなくなることも珍しくなかった。もちろん渋滞すると逆走も当たり前に行われていた。街中にクラクションが鳴り響いていた。高速道路で出なければならない出口をスルーしてしまい、本線車道をバックして出口に入ることも珍しくなかった。ちなみに、そのような状況はいまでもインドのデリーを訪れると体験することができる。

 そんな中国も数年もすると沿岸大都市ではクラクションを鳴らすことの禁止など、マナー向上運動もあり、カオス的状況が若干抑えられ、筆者としてはどこか物足りなさを感じていた。そんな時、北朝鮮と国境を接する遼寧省の瀋陽という町を訪れると、上海では見る事の出来なくなっていた歩道への四輪乗用車の乱入や逆走などが行われていた。瀋陽在住の日本人駐在員から、「上海では見られない光景がここでは残っていて懐かしいでしょう」といわれ、確かに懐かしく思っていた筆者がそこにいた。

 今年1月に6年ぶりに韓国・ソウルを訪れた。すると、市内を走る路線バスの運転マナーが急速に改善されていたことに驚かされた。その昔ソウルではタクシーより路線バスのほうが危険な運転をしていた。当時、路線バスドライバーの給料は「1日担当路線を多く往復するほど高くなる」という、ある種歩合制だったといわれていた。そのため、できるだけ多く本数をこなすため、ドアを開けっぱなしで走行し、混んでいるバス停を自主的に通過することも珍しくなかった。ちなみにこのような状況は2010年に開催された上海万博会場内を走るシャトルバスでも見られた。さすがにドアを開けっぱなしで走行とまではいかないものの、自主的なバス停の通過などかなりアグレッシブな運転を万博会場で行っていた。

 一般的には路線バスよりタクシーのほうが運転は荒っぽいといわれているのだが、ことソウルに限っては路線バスのほうが運転は荒っぽかったのである。そのようなソウルの路線バスやタクシーが、ドライバーの接客態度も含め大幅に改善され、市内の移動で躊躇なく使えるようになっていた。

 筆者はこのようなマナーの悪い運転に遭遇しても、怒りのようなものはなく、新興国では国が急速に成長している躍動感のようなものを感じてしまう。そして、「かつての日本も似たようなものだったな」と、子どものころのかすかな記憶を思い出している。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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