一般車にまぎれて取り締まるパトカー! 高速隊の「覆面車両」を見破る手段はあるのか? (2/2ページ)

覆面パトカーのニューウェーブか!? 見た目も走りもイケてるスポーツセダン

マジで覆面!? WRブルーのWRX S4

 全国各地で新しい覆面パトカーの配備が進んでいる。たとえば現行車ではないが、318馬力の3.5リッターV6を搭載したトヨタ・マークX。絶対数はクラウンほどではないが、「覆面=クラウン」の固定観念が根強いベテランドライバーほど気づきにくい。実際、筆者も東京外環自動車道路で警ら中の同車両に遭遇したが、助手席のスタッフから「覆面かもしれない」という忠告を受けなかったら、危ういところだった。

 また、これも私事で恐縮だが、宮崎自動車道で出くわした5代目スバル・レガシィB4。白のボディカラーは覆面パトカーとは思えず、気にせず追い越したが、バックミラーに目をやると、後方で赤色灯を点灯させて追走してくるB4の姿。そのときは幸い警告だけで済んだが、存在を悟らせない巧みな取り締まりは、まさに覆面パトカーの面目躍如といったところ。

 きわめつけは、1年ほど前にSNSやネットニュースなどで取り上げられて話題になった、埼玉県警に配備された3台のスバルWRX S4だろう。

 地味なセダンの覆面パトカーが数多く活躍(?)するなか、同じセダンでも、300馬力のターボパワーを4輪で駆動。外観もエアロパーツを装着したまんまスポーツモデル。知らない人に「覆面パトカーなんだよ」と言っても、信じてもらえるだろうか?

 しかも、3台のうち、シルバーとグレーという2台のボディカラーは理解できるが、1台はスバルのスポーツモデルのイメージカラー、地味とは言えないWRブルーに彩られている。何も知らなかったら、単にクルマ/スバル好きが乗っているWRX S4だ。

 数少ない外観上の一般車との見分け方のひとつはナンバープレート。所轄の地名(仮に埼玉県なら大宮、所沢、熊谷など)が記されていること。そして、希望ナンバーではないこと(地名のあとの500や300などの3桁番号で判別可能)が手掛かりになる。

模範運転を地で行く覆面パトカーのオーラ

 正体を隠して違反車両を取り締まるのが覆面パトカー。一般車との見極めが難しいのは当然だ。たとえば、覆面パトカーのスモークタイプのリヤウインドウガラスもそう。かつては運転席と助手席、2名の大人が乗っていることで、後方から覆面パトカーか否かの判断がある程度可能だったが、それもできなくなってしまっている。だとすれば、車両だけでなく、その生態、すなわち取り締まりの傾向や運転にも目を向けるべき。

 基本的に、覆面パトカーが取り締まり中に追い越し車線を走ることはなく、走行車線をひたすら巡航していることがほとんど。そして、追い越し車線を速度超過で走ってきたクルマを確認するや、追い越し車線に移って追尾を開始、超過速度の計測を行う。

 つまり、走行車線を走る怪しいセダンを見かけたら、用心することに越したことはないということ。また、巡航速度の制限速度内、かつ、前走車との車間距離も十分に確保された、交通法規に則した模範的運転である点も特徴だ。

 そのため、2車線の高速道路で、覆面パトカーに気づいたクルマがその後ろに続き、さらにほかのクルマが何台もの後に続くといった現象が発生。なぜか追い越し車線がガラガラで、走行車線に何台ものクルマが連なっていたら、その先頭を覆面パトカーが走っている可能性が高いと考えたほうがいいだろう。

 覆面パトカーを運転する警察官の運転も判断材料になる。取り締まりでの高速走行はもちろん、走行車線を走っているときでも、つねに車速と車間距離は一定。進路が少しもブレることはなく、きわめてスムースな車線変更など、何から何まで完璧。大げさに言うと、一般ドライバーとはまったく違うオーラが出ているのだ。

 もっとも、それを見て感じ取れるとしたら、近しい感覚とスキルを持っていること。そして、「そもそも論」になってしまうが、普段からスピードを控えめに、制限速度を守っていれば、覆面パトカーは恐るるにたらず、ってことだ。

もしかしたら覆面かもしれない怪しいセダン5選

トヨタ・クラウン

 全国各地で覆面パトカーの採用率はNo.1。現行の220系はまだ数が少なく、それ以前の型が大半を占めている。かつてと比べると、一般車両と見分けがつきにくいスポーツ系グレード(アスリートなど)の比率が高まっている。

トヨタ・マークX

 登場から13年が経過している絶版モデルだが、信頼性の高いトヨタのセダンとして、クラウン同様に覆面パトカーの採用率が高い。素直な操縦性はFRならでは。2.5リッターがメイン車種だが、3.5リッターV6搭載車の速さはGTカー並み。

トヨタ・カムリ

 覆面パトカー初のFFハイブリッドモデル。WSグレードをベースに、TRD製のエアロパーツやホイールを装着したドレスアップ仕様。現在、高速隊での採用はなく、警視庁の交通機動隊に配備され、一般道での取り締まりを実施。

日産スカイライン

 スポーツセダンの名をほしいままにした歴代スカイラインも、覆面パトカーとして導入されることが多かった車種のひとつ。完全に高級車の仲間入りをした現行モデルも、一部の県で交通取り締まり用覆面パトカーとして導入されている。

スバル・レガシィB4

 5代目にあたるBM系を覆面パトカーとして導入。4ドアセダンのB4で、ボンネット上に空気導入口を設けたターボモデルは、大きな識別点。上級グレードにもかかわらず、リヤワイパーが省かれている点も覆面パトカーの特徴だ。

※本記事は雑誌CARトップの記事を再構成して掲載しております


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