VWきっての伊達クルマ……なのに消えちゃった! 熱風の名がよく似合う「シロッコ」は生き様も熱かった (2/2ページ)

復活のシロッコはフォルクスワーゲン13年ぶりの3ドアハッチ

 1981年、シロッコはフルモデルチェンジされ、セカンドジェネレーションへと姿を変える。デザインは初代モデルとは異なりフォルクスワーゲンの社内チームが担当。エアロダイナミクスもCd値で0.38にまで向上するが、一方そのプラットフォーム自体は初代シロッコ、つまり初代ゴルフに使用されていた、グループA1プットフォームのままだった。

 このセカンドジェネレーションのシロッコにも注目すべきモデルは数多くあるが、そのなかでも1984年にマイナーチェンジを受け、トップグレードとなったGTXの存在は見逃せない。エクステリアではさまざまなエアロパーツを採用し、さらにエンジンの高性能化を図ったGTXなどはその象徴的な例。

 1987年には1.8リッターの排気量から125馬力の最高出力を発生するGTX-16Vの導入も行われた。そしてシロッコは、1988年に後継車のコラードが誕生したことで、徐々にその姿を消していくのだった。

 コラードが2世代にわたって進化を続けたあと、フォルクスワーゲンはシロッコの復活を決断する。フォルクスワーゲンとしてはじつに13年ぶりとなる3ドアクーペ。もちろん期待は大きかった。

 搭載されたエンジンは、こちらは6世代目に進化していたゴルフとほぼ同様の布陣。その中から1.4リッターの直列4気筒ツインチャージャーや、2リッター直列4気筒ターボ、そして2リッター直列4気筒TDIなどがシロッコには選択されている。

 日本仕様の販売は1.4リッターツインチャージャーのTSIと、2リッターターボの2.0TSIでスタートするが、のちに同じRでも、4WDのゴルフRとは異なりFWDの駆動方式がチョイスされた、シロッコRも輸入されている。こちらはそのパワーユニットは256馬力の2リッターTSI直噴ターボとなるが、ならばなおさら4WDのシステムがほしいところでもあった。

 フォルクスワーゲンはシロッコの生産を2017年で中止。シロッコの名を掲げたその直接の後継車は、残念ながらまだ誕生の兆しすらない。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
蛯原友里

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