アクセルを踏んでないのに「吹かしてる」状態! エンジン始動直後に「回転が上がる」ワケ (2/2ページ)

回転が高いのはエンジンを守るため!

エンジン本体を保護するため

 エンジンの主要部品、ピストン、シリンダーなどは、熱で膨張することを前提に設計しているので、温まるまでは各部のクリアランスが適切ではない。また、エンジンオイルも冷えているときは攪拌抵抗が大きく、フリクションも大きい。

 プラグも中心電極の温度が500℃以下だときれいな燃焼が難しく、燃料が完全燃焼しない(プラグの自己浄化温度は約500〜950℃)。これらの部品やオイルを早く温め、適温に持っていき、各部のクリアランスを最適化し、フリクションを減らすのも目的。

メタルにオイルを送るため

 エンジン内部のクランクシャフトやピストンなどの金属部品は、じつは金属同士が直接接触していることはない。金属と金属の間にはつねにオイルが入り込み、フルフロートの非接触状態で作動している。こうした非接触の潤滑状態を「流体潤滑」というが、流体潤滑を支えているのはオイルポンプ。オイルポンプからオイルが送られてこないと、オイルで各部をフローティングさせることができないので、一時的に「境界潤滑」になってしまう。

 その「境界潤滑」の時間を短縮するためには、早くオイルを届けてやる必要があるので、オイルポンプを早くまわす=エンジンの回転数を上げる=ファーストアイドルが高くなるという流れになるわけだ。

 ファーストアイドルが高い主な理由は以上だが、エンジン始動後、各部の温めはクルマに任せておけば大丈夫。夏でも冬でもエンジンをかけて10秒もすれば走り出してOK。というより、むしろ停車したままアイドリングをキープしても、温めるべき部品のごく一部しか温まらないので、いわゆる暖機運転ではなく、走り出して4~5分ほどゆっくり丁寧に走る「暖気走行」をするのがベスト(水温ランプ「緑」が消灯するまでが目安)。

 もうひとつ注意して欲しいのは、始動時に「アクセルペダルを踏み込んだままセルモーターをまわさないこと」

 これをやると始動性が悪くなったり、かぶり気味になる可能性があるので、エンジン始動時はアクセルペダルにノータッチで、ECUにお任せしよう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

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