「ヒール」「サンダル」はもちろん「スニーカー」でもダメ!? 安全を阻害する「運転に適さない靴」ってどういうもの? (2/2ページ)

要点を抑えた設計がされているシューズがオススメ

 でも、同じスニーカーでも運転する際に安心して履けるのは、厚底や幅広のスニーカーではないのです。

 お手本はレーシングシューズ、ドライビングシューズです。まず靴の幅ですが、足の幅とほとんど変わらない細身のデザインが理想的。これは、ペダルの踏み替えをスムースに行うためや、ペダル配置が近いクルマで両方を同時に踏んでしまうミスを防ぐためでもあります。足の甲など上側を覆う部分は、ソフトな素材が適しています。つま先や土踏まずの部分に力を入れると、甲や指の付け根あたりが動くので、あまり固い素材だと動きにくくなり、擦れたりあたったりして痛くなる可能性があります。ヒモやマジックテープなどで調整できる場合には、少し余裕を持たせておくといいでしょう。

 そして靴底は、さまざまな要件があります。フラットであることはもちろんですが、なるべく薄くて硬さのある靴底でありながら、しなやかな柔軟性のある靴底が理想的。ペダルの感触が掴みやすく、ごく微量の力の入れ加減が伝わりやすく、繊細なペダル操作をサポートしてくれます。厚みのある靴底は力の加減が大雑把になりやすく、カックンブレーキになりやすい人は靴のせいかもしれません。またウォーキングシューズのようにソフトな靴底は、いざというときに緊急ブレーキが踏みにくいので、運転に向いているとはいえません。

 そして、カカトの形状も大事なポイント。ペダルを踏むときにはまずカカトをフロアにしっかり固定することが、的確な操作と疲れにくさにつながります。理想的なのはカカトを覆うように靴底までカバーされている、カカトの部分がなだらかに丸くなっているものです。ドライビングシューズやレーシングシューズがお手本です。多くのスニーカーはカカトが四角く、歩くときに地面と接地しやすくなっていますので、ペダル操作のときにフロアと接するのはちょうど角の部分。そのためグラグラしたり、変な力がかかって足が疲れたりすることがあるのです。

 ということで、スニーカーならなんでも運転しやすいかというと、そうではないことがわかりますね。運転する時間が長い人や、少しでも安全運転につなげたいという人は、靴の選び方から変えてみるといいのではないでしょうか。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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