小学校に「二宮金次郎的」銅像を建てるなら……メルセデス・ベンツ124型ミディアムクラスを推す! ちびっこに伝えるべき「最善か無か」 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■二宮金次郎の像は多くの小学校に銅像として設置されている

■クルマの世界で”二宮金次郎”的な扱いをしても差し支えない偉大なクルマを探した

■ライターの石橋さんはメルセデス・ベンツ124型ミディアムクラスを銅像の候補に挙げた

銅像に相応しい偉大なるクルマはこれしかない!

 銅像といえば、小学校の校庭にひっそり建てられている二宮金次郎の像を思い出すかと。今回のお題は、そんな銅像に仕立てて校庭にでも飾っておきたいクルマとのこと。そこで、ちびっ子たちが「スタイリングにしびれるぅ」とか「エンジンの咆哮たまんねぇ」などと感慨に浸っている様子をイメージしながら、主観を大いに混ぜ込んでセレクトしてみました。

 まずは銅像になるためには、なにかしらキャッチーなポイントが欲しいもの。販売台数世界一(VWビートル)や、防弾防爆性能世界一(GMビースト)とか、あるいは航空母艦のカタパルトから射出された(シトロエンAX)なんてのも、ちびっ子の瞳がキラキラしそうです。

 それから、大人が偉そうに講釈たれることができるのも大切でしょう。「金次郎は柴拾いに行くときも本を読んで勉強してたぞ」とか「夜は蛍の灯りでもって勉強したのだ」といった具合に、「いまとなっては真似のできない仕上がり」とか「純粋に最上を求めることが重要なのだ」的なことが言えたら、ちびっ子なんか丸め込めるのではないかと。

 ついでに、クルマですからある程度はスタイリッシュなほうがいいでしょうね。ずんぐりむっくりとか、寸詰まりみたいなクルマではリスペクトしようったって無理ですからね。

 それと、政治的配慮から国産車も避けるべきかと。たとえば、トヨタのお膝元で日産の銅像は建ててもらえんでしょうから、全国区の汎用性を求めると輸入車に落ち着くのではないでしょうか。

 そんなプロセスを経ての結論は、ずばり124型ミディアムクラス! いわずとしれた、メルセデス・ベンツのミディアムクラスと呼ばれていたころの名車であります。1984年から1996年まで生産されると、世界中で260万台近くが売れたといいますから、当時のメルセデスにとってドル箱的な商品だったに違いありません。

 有名な「最善か、無か」というモットーを地で行くような設計思想、素材使い、そして「面白くもなんともない」と評価されがちなパフォーマンスにしても、出しゃばりすぎないキャラと受け止めることができるはず。金庫のようと例えられる車体剛性や、合理的、かつ贅沢な設計ゆえに信じられないほどの耐久性を誇るなど、優れたポイントは枚挙にいとまがありません。

 むろん、「当時としては」という冠詞がいるパートもあるっちゃありますが、極端な話、現代のメルセデスに同等のクルマが作れるかといったらさまざまなファクターから「不可能」。仮に作れたとしても、値段は当時の倍はいくことでしょう。いまとなっては、名車とか最高傑作とか呼ぶ以外に、124を表徴する言葉は見当たらないのではないでしょうか。


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

文筆業

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三菱パジェロミニ/ビューエルXB12R/KTM 690SMC
趣味
DJ(DJ Bassy名義で活動中)/バイク(コースデビューしてコケまくり)
好きな有名人
マルチェロ・マストロヤンニ/ジャコ・パストリアス/岩城滉一

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