【試乗】この巨体でも意のままの操縦性が気持ちいい! ヴェルファイアの走りはアルファードとはまったく別モノだった!! (1/2ページ)

この記事をまとめると

■新型トヨタ・ヴェルファイアに試乗した

■2.4リッターターボエンジンはヴェルファイアにしか設定されていない

■巨体のハイエンドミニバンでありながらドライバーズカーに仕上げられている

279馬力の2.4リッターガソリンエンジンはヴェルファイアだけ

 いま大注目の4代目新型アルファードについて、概要やパッケージ、そしてエグゼクティブラウンジのE-Fourの試乗記を紹介したが、ここではある意味”復活”を遂げたと言っていい、3代目となる新型ヴェルファイアの試乗記をお届けしたい。

 今回の新型ヴェルファイアの最大の特徴は、従来の”見た目だけ差をつける”というアルファードとヴェルファイアの関係を覆したことだ。TNGA GA-Kプラットフォーム、ボディサイズ、インテリアなどはアルファードと基本的に共通だが、パワーユニットは2.5リッターエンジン+モーターのハイブリッドに加え、アルファードにはない2.4リッターガソリンターボ、279馬力、43.8kg-m+8ATを2WD/4WDの駆動方式で用意。

 タイヤはトヨタとダンロップが共同開発した専用のスポーツタイヤ、225/55R19サイズのSP SPORT MAXXを、全車7人乗りのエグゼクティブラウンジおよびZプレミアの両グレードに履かせているのだ。

 さらに、アルファードと共通のボディ剛性先代比約50%増しの基本ボディ補強に加え、ヴェルファイアはフロントサイドメンバーとラジエーターサポートをつなぐフロントパフォーマンスブレース、専用チューニングサスペンションを採用することで、走りにこだわるドライバーに納得できる応答性に優れたハンドリング、気持ちのいい走りを実現できるようこだわったというのである。

 つまり、ショーファーカーにも適したアルファードに対して、こちらは走りに特化したハイエンドミニバン、ドライバーズーカーへと変貌を遂げ、差別化が図られたことになる。

 まず試乗したのは、ヴェルファイアのZプレミアのガソリンターボ、2WDモデルだ。見た目よりずっとサポート性に優れたフロントシート、ダブルAピラーによる斜め前方の視界の良さ、クルーザーをイメージしたというインパネから幅広なセンターコンソールにつながるインテリアデザインに納得しつつ走り出せば、279馬力、43.8kg-mを発揮するターボエンジンは意外なほど静かにスムースにまわり、気持ちよく発進する。

 ステアリングはアルファードのエグゼクティブラウンジと比べ、はるかに引き締まり、応答性の良さや操舵フィールのスムースさもなかなかだが、2WDならではの軽快感もある。19インチのスポーツタイヤを履く乗り心地は、たしかに段差の乗り越えでは突き上げはあり、荒れた路面でゴツゴツするものの、鋭利な段差の乗り越えでショックを受けても強靭なボディ、足まわりがしっかりと受け止め、ガツッときたショック、振動を1発で収めてくれるから、これも新型ヴェルファイアのスポーツミニバンたるキャラクターからすれば、あまり気にならない。どころか、ドイツ車的な硬質な乗り味だと、好感をもって受けとめるユーザーもいるに違いない。

 ターボエンジンは低回転域からトルキーで、高回転まで伸びやかにまわり、車重を感じさせない強力なパワーフィールを味わわせてくれる。2180kgという、新型アルヴェルのなかで軽量な部類の車重も功を奏しているはずで、動力性能に過激さはないものの、文句なしに速い(最軽量はアルファードのガソリンZの2WD=2060kg)。しかも、キャビンに進入するエンジンノイズは”こもる”低域が抑えられ、主に高域のため、トヨタの4気筒エンジンとしては例外的(!?)な、雑味のない抜け感ある気持ちいいエンジンサウンドが耳に届く。

 エグゼクティブラウンジにある多彩な防音材の一部はこのZグレードには採用されていないものの、「だからなんだ!」というスポーティなテイストは、より新型ヴェルファイアのキャラクターに合っているとも言えるのである。しかも、ロードノイズの抑え込みは想定外だったそうで、実際、大径19インチのスポーツタイヤにして、タイヤに起因するロードノイズは極めて小さい。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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