旧型の「2大ネガ」が消えていた! 新型アルファード&ヴェルファイアに死角が見当たらない!! (1/2ページ)

この記事をまとめると

■先代アルヴェルには古い運転支援機能と2列目席の微振動というふたつの弱点があった

■これらの弱点はマイナーチェンジでも改善されないままだった

■先日試乗した新型アルヴェルでは先代の弱点が完全に克服されていた

人気だった先代アルヴェルは決して完璧だったわけではない

 国産ハイエンドミニバンとして圧倒的な人気、売れ行きを示していた先代アルファード。ほぼライバルなしといえる新時代の大空間サルーンとしての地位を確立し、VIP、会社役員、芸能人の移動空間手段として街に溢れかえっている。かつてはクラウンやレクサスLSが幅を利かせていた永田町周辺や、一流ホテルのエントランスも、いまや黒塗りのアルファードばかりだったりする。

 そんな先代アルファードの、筆者が考えるウィークポイントはふたつあった。ひとつ目は安全装備や先進運転支援機能=トヨタセーフティセンスだ。何しろ、その内容が、2022年1月に発売された4代目ノア&ヴォクシーに大きくリードされてしまったこと。先代アルファードにはレクサス譲りの安心降車アシストや、一般道で先行車との距離を近づけ過ぎない制御やカーブ手前減速制御、リスク先読みなどを含むプロアクティブドライビングアシスト、ハンズオフドライブを可能にするトヨタチームメイトなどは未採用。

 その時点で最先端のトヨタセーフティセンスを備えたのは、トヨタのミニバンラインアップで弟分にあたるノア&ヴォクシーだったというわけだ。

 もちろん、新型アルファード&ヴェルファイアではそうした逆転現象は解消。さらに進んだトヨタセーフティセンスを搭載している。

 ここでの主題となる、もうひとつの先代のウィークポイントが、2列目席のシート振動だった。とくに先代から採用された上級キャプテンシート、つまりエグゼクティブラウンジシートおよびエグゼクティブパワーシートのアームレスト部分のビリビリする振動は、先代デビュー当時はもちろん、2017年12月のビッグマイナーチェンジでも解消されなかったのだ。

 そのシート振動の主な原因は、ボディ剛性、フロア剛性、そして極めつけが、重心が高くて豪華なだけに重く、振動面では不利だったのに加え、アームレストの蓋の構造上、シート本体の振動はそれほど気にならなくても、アームレストに肘を置くと、路面によってはビリビリした振動が伝わり、大げさに言えば、アームレストに肘をついたままノートにペンで文字を書こうとしても、手先、ペンにまで振動が伝わり、思うように文字が書けない……なんていう現象を引き起こしていたのである(筆者も実体験済み)。

 ちなみに先代の上級キャプテンシートの背もたれには、シート振動を吸収するためのダンパーが入っていたのだが、重量増もあって新型では不採用。そう、根本からシート振動対策が行われたからである。ここで言ってしまえば、新型のエグゼクティブラウンジシートおよびエグゼクティブパワーシートのアームレスト部分のビリビリする振動は、ついにほぼ解消されていたのだ。

 ミニバンの2列目席の場合、当然スライド機構があり、アルヴェルのような豪華で装備満載のシートだと、繰り返すが重心が高くて重く、シートレールとの取り付け部剛性を含め振動面では極めて不利。シートが床や左右にガッチリと固定されているセダン、サルーンの後席とは設計上わけが違う。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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