旧型の「2大ネガ」が消えていた! 新型アルファード&ヴェルファイアに死角が見当たらない!! (2/2ページ)

いまのところ新型アルヴェルに弱点なし

 そこで、新たにTNGA GA-Kプラットフォームを使う新型アルヴェルでは、走行性能や静粛性にも大きくかかわるボディ、フロアの見直しが行われている。もともと骨太な骨格の持ち主だが、さらにフロアにはオープンカーのボディ剛性を担保するV字ブレース、2種類の構造用接着剤を用い(先代の5倍、延べ50m分)、ボディ剛性を先代比約50%増しに高め、ボディ、フロアからの振動を低減。当然、走りにも効くのだが、同時にボディからシートに伝わる振動さえも低減できることになる。

 が、それでも、フロア~レール~シートというように、ある意味、宙に浮いたように取り付けられている重心が高く重いエグゼクティブラウンジシートおよびエグゼクティブパワーシートの振動までは抑え込めにくい。そこで新型アルヴェルの開発陣は、まずシートレールとシートの間の前後2か所に防振ゴムブッシュを設置。つまり、マンションの免振構造のような方策と言っていい。

 それだけではない。高反発、低反発のウレタンパッドをシートの適材適所に配置し、とくに背もたれの感動に値するかけ心地とともに、シート振動の低減を加速。懸案の蓋が可動するアームレスト部分にもクッションパッドを使い、徹底した振動対策を施したのである。ボディ、足まわり、フロアの高剛性+振動吸収によって、なんと先代比で約3分の1まで振動を遮断できたというのだからすごい。

 すでに結果報告をしているが、エグゼクティブラウンジシートを奢る最上級のエグゼクティブラウンジ、エグゼクティブパワーシートを使うZグレードの2列目席に乗り込み、横浜みなとみらい周辺の一般道、首都高、ベイブリッジ、大黒ふ頭PAの段差のキツい出入り口を走った限り、どちらのシート、ひじかけにも不快な振動を感じることはなかった。試しにノートに2列目席試乗インプレッションのメモを書いてみたが、文字はまったくブレなかったのだ。

 これでアームレストは本来の役割を100%発揮できたことになり、微振動によるロングドライブでの疲労は抑制される。先代アルファードの2列目席でそうした振動が気になっていた人は、ぜひ新型の2列目席の乗車感覚を確かめてほしい。プライベートジェット感覚の居心地とともに、振動面の進化にも感動できるはずである。

 とくに乗り心地に特化したショーファカーとしての用途も多いエグゼクティブラウンジグレードのプレミアムナッパレザーを使ったトヨタ初のオットマン&アームレストヒーターまで備わる2列目席は、豪華で静かかつ乗り心地良く、もてなし装備満載かつ、シートの微振動がほぼ解消された「2列目席免振構造新採用」の”真のエグゼクティブラウンジ”空間になりえたといえるだろう。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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